阪神佐藤輝明内野手(23)が勝負どころでの1発を放ち、逆転Aクラスを勝ち取る意気込みを明かした。

「ホームラン打ってナンボ」。狙うは23日の広島戦で勝利を決定づけた20号中押し2ランのような千金弾再現だ。この日3位巨人が敗れ、大チャンス到来の0・5ゲーム差。27日からのヤクルト2連戦(神宮)で連勝すれば、単独3位に浮上し、巨人と広島にも重圧をかけられる。さあ輝よ、ミラクル弾を待ってるぞ!

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甲子園の取材エリアに低い声が響いた。本塁打以外の数字は1年目よりも伸びている-。そう問われた時だ。佐藤輝は迷いなく言葉に力を込めた。「まあでも、ホームラン打ってナンボなんで、そこはまだまだだなと思っていますけど」。

昨季101本だった安打は140本。四球もすでに23個多い。課題の三振も現時点で昨季より37個少ない。二塁打、三塁打、打率、打点、得点、盗塁…。挙げればキリがないほど数字は良化している。だが、本塁打だけは4本減っており、満足はしていない。「そこが一番目指す結果なんで。これからも打てるように頑張ります」。23日の敵地広島戦では2点差に迫られたあとで、右翼上段の看板まで飛ばす特大の20号2ランを放ち、勝利を決定づけた。逆転CSをかけて残り3試合。ここ一番の勝負どころでの1発再現を目指す。

この日3位巨人が中日に敗れ、タナボタで0・5差に縮まった。阪神は27日からのヤクルト2連戦に連勝すれば、試合のない巨人と広島を上回って単独3位に浮上。両球団を勝つしかない状況に追い込み、プレッシャーをかけられる。一方で1敗でもすれば、逆にAクラスが風前のともしびになる崖っぷち。だが、ヤクルトはこの日優勝を決めたことで、“消化試合的”に戦力を落としてくるラッキーがあるかもしれない。いずれにせよ、是が非でも2連勝がほしい戦いで、佐藤輝の浮沈が命運を決めると言っても過言ではない。

「負けられないのは終盤になってからずっとある。残り3試合と意識するより、目の前の試合を1戦1戦しっかり戦いたい」。神宮では今季、打率3割2厘、3本塁打の好相性。初戦先発予定の高梨も打率3割8分5厘と得意にしており、爆発の舞台は整っている。

近大の先輩糸井魂を受け継ぎ、堂々と超人を継承する。引退試合後の会見で、超人の継承者について「輝に決まってるんじゃないですか」と期待してもらった。「結果を残していけば周りが言ってくれると思うので、結果を出して、(超人と)呼んでもらえるように頑張ります」。まずは相手の4番、村上のお株を奪う1発でヤクルトを倒す。虎の新超人がミラクルの扉をこじ開ける。【中野椋】