BIGBOSSが課した“抑えテスト”に、プロ初セーブで満点回答だ。日本ハム伊藤大海投手(25)が、プロ入り後、48試合目の登板で初めてセーブシチュエーションでマウンドに上がった。3-2と1点差に迫られて迎えた9回。2番手でマウンドに上がり、1イニングを3者凡退で締めた。

まるで“追いロジン”で一躍全国区になった昨年の東京五輪のようだった。侍ジャパンで金メダルを獲得したあの時と同じく、この日も白いロジンの粉が舞い、直球がうなる。「いろいろな人の生活が懸かった大事な1イニング。いつも以上の汗が出ていたので。緊張ですね」と照れたが、効果は抜群だったようだ。先発登板時よりも、直球主体にぐいぐい攻める姿は圧巻だった。辰己と茂木は、151キロで見逃し三振。雄たけびを上げる気迫の投球に「伊藤、ストッパー構想」の言い出しっぺ、新庄監督は「力あるでしょ、ねえ」と、ご機嫌だ。

伊藤本人は先発希望だが、抑え不在に苦しむチーム事情もある。新庄監督は、救援として侍ジャパンに貢献した投げっぷりが忘れられなかった。「本人に聞いたら、明日はないって(笑い)。ちょっと1日、空けたいみたい」と、さすがに“連投テスト”は見送る方針だが、オフの補強次第では、来季守護神の筆頭候補にもなりそうだ。

「去年のルーキーのころを思い出した」という右腕。「これぐらい(思い切り)各打者に対して腕を振ってたなと思い出した。今日は投げていて、すごく楽しかった。『コレやな』っていうのがあった」。新たな挑戦に、しっかりと、手応えをつかんだ。【中島宙恵】

【関連記事】日本ハムニュース一覧