リーグ連覇を果たしたヤクルトのベテラン2人がユニホームを脱ぐ。内川聖一内野手(40)と嶋基宏捕手兼コーチ補佐(37)が今季限りで現役を引退することが27日、分かった。内川は3球団で通算2185安打をマークした安打製造機として活躍。嶋は8代目の選手会会長として球界でリーダーシップを発揮した。

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歓喜の優勝の陰で、長年、プロ野球界を盛り上げてきた2人がユニホームを脱ぐ決意を固めた。関係者の話を総合すると、ともに出場機会の減少などから決断した模様だ。

内川は大分工から00年ドラフト1位で横浜(現DeNA)入り。若い頃は体調不良などに苦しみ、レギュラーに定着できない時期が続いた。だが、屈指のバットコントロールを身につけると、08年には右打者歴代最高打率の3割7分8厘で首位打者、最多安打、最高出塁率の3タイトルを獲得した。09年の第2回WBCで日本代表入りし、世界一に貢献。球界を代表する右打者へと飛躍し、侍ジャパンの常連となった。

10年オフにFA権を行使し、地元・九州のソフトバンクへ移籍。常勝軍団の主力として活躍を続け、11年に史上2人目となるセ、パ両リーグで首位打者。18年には通算2000安打を果たした。ただ、出場機会が減り、20年オフに現役続行を目指し退団。昨季からヤクルトでプレーする。今季はチームがコロナ禍に見舞われた7月に初昇格。6試合で3安打に終わるも、存在感をみせた。2軍でも若手への助言を続けてきた。

嶋は国学院大から06年大学・社会人ドラフト3巡目で楽天入り。野村監督の下、1年目から出場を重ねた。正確なスローイングや勝負強い打撃が評価されるが、リーダーシップこそ真骨頂。東日本大震災に見舞われた11年、開幕前の復興支援試合・日本ハム戦での「見せましょう、野球の底力を」のスピーチは、日本中の人々の心に刻まれた。13年には田中将の24連勝を引き出し、球団初の日本一に貢献した。

出場機会を求め、19年限りで退団。20年からヤクルトでプレーする。出場は減ったが、練習から大きな声を出す姿は健在。内山壮ら若手捕手へ積極的に助言を送り、今季はコーチ補佐を兼ねる。ここまで出場1試合のみも、頭脳として連覇を下支えした。

◆内川聖一(うちかわ・せいいち)1982年(昭57)8月4日、大分県生まれ。大分工では甲子園出場なし。00年ドラフト1位で横浜入団。08年に右打者最高打率で首位打者、最多安打、最高出塁率。10年オフにFAでソフトバンク入り。11年に史上2人目の両リーグ首位打者でパ・リーグMVP。20年限りでソフトバンクを退団し、21年からヤクルトでプレー。ベストナイン5度。ゴールデングラブ賞1度。09、13、17年WBC日本代表。184センチ、92キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4000万円。

◆嶋基宏(しま・もとひろ)1984年(昭59)12月13日、岐阜県生まれ。中京大中京では3年春に甲子園出場。国学院大を経て06年大学生・社会人ドラフト3巡目で楽天に入団。新人の07年から主力に定着し、13年には球団初のリーグ優勝と日本一に貢献。10、13年にベストナインとゴールデングラブ賞。11、13年に田中将大と最優秀バッテリー賞。19年限りで楽天を退団し、20年からヤクルトでプレー。15年プレミア12日本代表。179センチ、84キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2000万円。