引退会見を行った西武十亀剣投手(34)を、新人時代の監督だった渡辺久信GM(57)が、11年間の選手生活をねぎらった。

30日、埼玉・所沢市内の球団施設での会見場の後方から見守った同GMは、ルーキーイヤーの12年に指揮を執っていた。1年目から救援陣として起用し、シーズン終盤には2年目を見据え先発登板させた。すると翌年、チームで唯一先発ローテーションを守り抜き、成績は8勝8敗。貯金はつくれなかったが、その年のシーズン終了後に「1年戦うためにそういうピッチャーは必要なんだ。胸を張っていいと思うよ」と直接伝えたという。

監督室に呼び、先発起用の意図なども説明した。当時の状況を明確に記憶していた同GMは、会見でのやりとりをすべて見届け「あいつ何も覚えてなかったね」と笑った。FA権を取得した19年オフには、GM就任1年目で残留交渉を自ら行った。「誠心誠意こちらから十亀の力が必要だということで複数年でお願いした。本人も『やるからには西武で骨をうずめるつもりだ』という意思を示してくれて、すごくうれしかったし、おとこ気を感じた」と引き留めに成功した1人だった。

今後については「シーズン中なので私からはノーコメント」と明言を避けた。

◆十亀剣(とがめ・けん)1987年(昭62)11月7日、愛知県生まれ。愛工大名電では3年春夏に甲子園出場。日大、JR東日本を経て、11年ドラフト1位で西武入団。12年5月30日広島戦でプロ初登板。15年には自己最多の11勝。19年オフにFA権を行使して西武残留。通算258試合で53勝50敗、防御率3・99。183センチ、88キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸7000万円。

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