DeNAの伊藤光捕手(33)が9日、横浜市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の1億1000万円(金額は推定)でサインした。

来季は4年契約の最終年となるが「毎年ケガで離脱するようになるとは想像もしていなかった。まず、すみません」と謝罪し、「若い捕手、年下の捕手ばかりなので、自分が軸になってやらなければいけない。そのためにはケガをしないことが一番の条件」とあらためて決意した。

今季は4月に左ふくらはぎの筋膜障害で離脱し、復帰後すぐにコロナに感染。約2カ月半、チームから離れ、40試合出場、打率2割7分7厘に終わった。93試合出場で軸となっていた嶺井がFAでソフトバンクに移籍。同72試合の戸柱、強肩強打のドラフト1位ルーキー大阪桐蔭・松尾汐恩(18)らとのポジション争いは激しいが「嶺井は仲が良いほうだったので友達が1人いなくなるのは寂しいかな。チャンスって形にはなりますけれど、(争いは)いてもいなくても関係ないです。自分のやることは変わらないので」と自身の課題に向き合う姿勢を貫くことに揺らぎはない。

キャッチング、スローイングはもちろんだが、軸となる信頼感を得るために最重要視したのは「ワンバウンドを止めるブロッキング」と明確にした。阪神・梅野のボールをキャッチする技術の高さに感銘を受け、「進塁を防ぐ捕手は捕るのもうまい。敵ながら勉強させてもらっていることもあったので、そこにフォーカスしてやりたい」。ワンバウンドを胸などで止めて前に落とすのではなく、しっかりキャッチしにいく梅野の姿を自身にも課し、1つでも先の塁を許さない捕手像に挑むつもりだ。

球団からは「暴れ馬をリードしてくれてありがとう」と評価されたように、捕手としての技術や投手らを精神面で支える点は定評がある。「極端に言うと(暴れ馬は)ロメロのことだと思うんですけど、たぶん」と苦笑いを浮かべつつも「若い投手を任せてもらうことが多かったので、そこを何とかしなくちゃいけない」。今永、大貫に続く投手陣の軸を育成する役割も自覚している。

ケガ予防には、練習過多になっていた時間を、体のケアや補強トレーニングに移行する計画だ。「僕の左ふくらはぎが被害者であって、僕の股関節であったり腰であったりが加害者になっている」と独特の表現で、体の長所と短所を深く理解してケガ防止に努め、チームの軸として君臨する準備を進める。【鎌田直秀】