輝く金色のスパイクで、全パのオリックス山下舜平大投手(21)がスターの仲間入りを果たした。「すごいバッターしかいないので、ホームランだけは打たれないように気をつけました。野球の楽しさをあらためて実感できる場だと思いました」。初のオールスターで勝利投手となり、敢闘選手賞も受賞。名実ともに全国のファンに印象を残した。

自身最速は159キロだが、この日は152キロ。それでも唯一無二の直球は光っていた。2回無死一塁で、牧を外角低め150キロの直球で空振り三振。全セの主砲も思わず首をかしげた。「疲労もあったので、監督にけがだけはするなと。でも真剣勝負なので、中2日でできる最大のパフォーマンスかなと思います」。2回を任されると知ったのは当日の朝だったが、1安打無失点と堂々の投球。18球のうちカーブは1球だけ。剛腕にふさわしい球宴デビューとなった。

今季開幕戦でプロ初登板&初先発を果たし、リーグ2位の8勝。選手間投票で選ばれた21歳は、1学年上の怪物も気になる存在。前日先発したロッテ佐々木朗から、話したい選手と名前を挙げられた。「昨日も今日もいろんなことを勉強させてもらいました」。山下はフォークの握りや投げ方をたずね、佐々木朗からはカーブについて質問。未来の球界のエース2人がお互いの宝刀を交換した。

ソフトバンクのオスナにもカットボールについて聞くなど存分に吸収。たくさんの選手と話し、技術だけでなく人間性も学んだ。「一流の選手は人に対しての対応も素晴らしかった。僕も気を使うことなく話すことができて、尊敬しています」。賞金100万円は「貯金しようかな」と話す。野球に真っすぐな21歳を、さらに進化させる時間になった。【磯綾乃】

▼21歳0カ月の山下が球宴初登板初先発で勝利投手。21歳0カ月以下の勝利投手は、20歳0カ月の14年<2>戦大谷(日本ハム)以来で、先発勝利では5番目の年少記録。上位4人は勝利を挙げる前に登板があり、「初登板初先発」では山下が最年少勝利だ。<1>戦の勝利投手が21歳8カ月の佐々木朗(ロッテ)で、全パは21歳コンビの白星で21年<2>戦から5連勝となった。

【球宴】バウアー前代未聞の投球、田口麗斗レインボーヘアなど/動画まとめ