木浪が止めた! 阪神が横浜スタジアムでの連敗を13でストップさせ、首位をがっちり守った。1点を追う8回2死から追いつき、木浪聖也内野手(29)が決勝の2点タイムリー二塁打を放って再逆転。昨年6月から勝てなかった鬼門でついに白星をつかんだ。高校球児に甲子園を明け渡す夏の長期ロードは3勝1敗の好スタート。この日逆転サヨナラ勝ちし、1・5差で追う2位広島とマッチレースの様相だ。

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泥だらけの男の白い歯が輝いた。木浪は藤本三塁コーチャーと、バシッと右手でハイタッチした。8回、値千金の勝ち越し打。「ハマスタの呪縛」から虎を解き放った。

「もういくだけだと。思いっきり振りにいった結果、あれだけ、あそこまで飛んでくれた」

覚悟を決めていた。ノイジーの適時打で同点に追いつき、なおも2死一、二塁。DeNAのセットアッパー、2番手伊勢の134キロフォークをすくった。高々と上がった打球に「越えろ!」と祈った。右中間フェンス直撃の2点適時二塁打。相手のミスの間に激走し三塁へヘッドスライディング。ベンチを見ると、みんなが喜んでいた。

「ずっと勝てなかったので、みんなと一緒に『なんとか勝とう』って、試合前に臨んでいた。そうなってよかったです」

昨年6月28日から1年以上続いた横浜スタジアムでの連敗を「13」で止める値千金の一撃。4回の中前打と合わせマルチ安打で、8月は打率4割。今季DeNA戦は打率3割5分3厘と好相性の「恐怖の8番」が、決着をつけた。

ファン投票で初出場した球宴で、土産を持って帰ってきた。自主トレをともにしたソフトバンク近藤と再会。下半身の重要性を説かれてきたヒットメーカーに「1つ聞いたことに対して、10でかえってきた」と聞き魔になった。「引き出しが増えた。後半戦につながれば」。この日の一振りも、強靱(きょうじん)な下半身で粘り、飛距離を生み出した。夢の時間は原点回帰の時間でもあった。

負ければセ・リーグの本拠地では球団ワースト記録となる「ハマスタ14連敗」だったが、8回に5安打4得点の集中打で逆転。2連勝で首位をキープだ。岡田監督は「木浪が目立つよな、打率下がってきとるけど、ええ時に打つからな」と勝負強い男を称賛。休養日にあてさせた7月30日広島戦後は打率4割と好調で「休ました方がなあ、元気になって戻ってくる感じがあるから」と、指揮官の作戦は的中だ。長いトンネルは抜けた。「明日も絶対勝ちます」と誓った背番号0が長期ロード序盤、虎に勢いを与えた。【中野椋】

▼阪神木浪が2安打2打点の活躍。今季の木浪はDeNAと横浜に強い。DeNA戦は今季打率3割5分3厘、横浜では同3割5分7厘と打っている。昨季までの4シーズンは、DeNA戦は通算2割4分2厘、横浜でも同2割3分5厘。セの本拠地別では東京ドームの2割7厘に次いで苦手とする球場だったが、今季は得意球場に変えている。

▼阪神が横浜で今季初勝利。昨年6月28日からの同球場での連敗を13で止めた。セ・リーグの本拠地球場では99~00年にナゴヤドーム(現バンテリンドーム)で喫した13連敗を超える球団初の不名誉を阻止。なお地方球場では76~92年に札幌円山球場で2分けをはさみ16連敗。