ヤクルトのドラフト5位ルーキー、北村恵吾内野手(22)が史上5人目となる満塁弾でプロ初安打を記録した。4点リードの3回1死満塁、広島森の初球を左翼席に運んだ。新人では1967年の槌田誠(巨人)以来、56年ぶり3人目の快挙となった。中大時代は2学年先輩だったDeNA牧秀悟内野手(25)と寮の同部屋。WBCで世界一となった師匠から常にもらい続けた激励を胸に、この日を迎えた。

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まさに師弟だった。北村は中大時代の同期に阪神森下がおり、野球部寮では2年間、DeNA牧がルームメートだった。牧とは家族以上の時間をともに過ごした。2学年先輩だがじゃれ合うことが多く、「プロレス技でよく固められていた。それが結構痛いんですよ」と、笑いながら青春時代を振り返った。

WBCのロッカールームで見せたようなコミカルなダンスをよく部屋で見せてくれた。普段は明るく優しい師匠だが、忘れられない表情がある。不真面目な態度でやり過ごした練習後だった。部屋に帰ると先輩は黙ってはいなかった。10分ほど正座で説教を受けた。怒鳴るわけでもなく淡々と、冷静な表情で諭されたことが逆に怖かった。

「1度だけです。あんな牧さんを見たのは」。それもそのはず。牧キャプテン時代の秋季リーグ戦で全く結果を残せなかった北村が部屋で1人で泣いていた時、「踏ん張って頑張ろう」と寄り添ってくれた。「牧さんのようにメリハリがあって器の大きな人間になりたい。そしていつかは超えたい」。師匠の背中を追い続ける。【三須一紀】

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