阪神森下翔太外野手(23)が新人のシリーズ歴代最多打点新記録の7打点で「日本一」に貢献した。

3点リードの5回2死一、三塁。比嘉のツーシームを捉え、左前適時二塁打で追加点を獲得した。「昨日打てなくて、やり返す強い気持ちを持って打席に立った。いいスイングができた」。この時点で史上5人目の新人シリーズ最多打点の6に並んだ。そして、6点リードの9回1死二塁で東の外角152キロ直球を中前打。猛打賞で記録を塗り替えた。

第5戦では値千金の逆転打で日本一王手に導いた。でも、急成長するまで心強い先輩なしでは乗り切れなかった。9月29日のDeNA戦(横浜)。1点ビハインドの5回無死満塁の絶好機でワンバウンドしたチェンジアップに空振り三振し、ベンチで大粒の涙がこぼれた。頭が真っ白になった瞬間、真っ先に声をかけたのは同じドラフト1位入団の佐藤輝だった。

「切り替えて。そんな打てない時もあるから。気にしないでいい」

森下はその言葉で引きずることなく、練習に臨むことができた。以前から「全部全力で、頑張り屋さんなので」と気にかけていた佐藤輝。森下も「自分の姿を見てなぐさめてもらった。ああいうときに声をかけられて本当に気が楽になった。ありがたかったですね」と感謝した。

翌日の広島戦でスタメン落ちも、代打で即安打。日本シリーズでは、3番打者として存在感を表した。「この1年間、先輩方のおかげでやりやすい環境で野球ができた。指導者も含め、環境に恵まれていると本当に感じました」。一丸となってつかんだ「日本一」。激動の1年は最強の仲間がいたからこそ、乗り越えられた。【三宅ひとみ】