昨春、日本一の東北福祉大が3季連続のリーグ制覇を果たした。今秋ドラフト候補の最速155キロ右腕、猪俣駿太投手(4年=明秀学園日立)が先発し、1失点完投。ここまで無傷のエースが5勝目を挙げ、79度目のリーグ優勝へと導いた。同大は連覇が懸かる第75回全日本大学野球選手権記念大会(6月8日開幕)に出場する。
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最後までマウンドに立ち続けたエースは、右手の拳を高く突き上げた。その後、駆け寄る仲間と強く抱き合った。8回までスコアボードに0を並べた猪俣。最終回に1点を失うも、冷静さを失わずに投げきった。「もともと最初から日本一が目標なので、まだまだ通過点です」。喜びと安堵(あんど)の裏にも、強い覚悟をにじませていた。
気づけばラストイヤー。猪俣は2年春にリーグ戦デビューを飾ると、同秋には5戦2勝で防御率0・77、3年春は5戦全勝で同0・66をマークするなど、安定した結果を残してきた。だが、昨秋は計6試合に登板し防御率4・11と苦しんだ。「気負いすぎたというか、『自分が抑えなきゃ』と気持ちになりすぎていましたので、もっと仲間を信じて投げるべきでした」と当時を振り返った。
エースとして先発の一角を担った今春。昨秋からわずか半年も、大きな成長を遂げていた。「周りを見られるようになったのが1番です」。エースとしての強い責任感がありながらも、仲間への信頼が冷静さを生み出した。「自分が引っ張らなくてはいけない思いもありつつ、全員で野球をやりたいという気持ちが根本にあるので、『野手が点を取ってくれる』『後ろの投手陣につなぐ』という考え方になりました」と口にした。
だが、これで満足はしていない。猪俣は、昨年までのエースで優勝投手に輝いた現中日・桜井頼之介投手(22)の名を口にした。「チームメートはもちろん、監督からも信頼されていました」。ピンチを迎えてもなお、ベンチに漂うのは「ヨリがなんとかしてくれる」という安心感だった。「まだまだ足りないことの方が多いですが、自分もそういうピッチャーになりたいです」と猪俣。真のエースになり、日本一の景色を見るために-。ここからが勝負だ。【木村有優】
○…脅威の上位打線はこの日もさく裂した。東北福祉大の1番・多田羅浩大外野手(3年=智弁和歌山)と、2番・高岡新時内野手(4年=龍谷大平安)で計3得点。初回には2人で先制点をもぎとり、8回には多田羅が中前打で出塁し、続く高岡が右翼スタンドへ2ランをたたき込んだ。「後ろにスーパースターがいるので、その分気楽に打つことができます」と多田羅。「高岡さんには打撃を教えてもらっているので、2人で点を取ることができてうれしいです」と満面の笑みで話した。



