スーパー王者内山高志(36=ワタナベ)が、豪快なKO決着で、日本歴代単独2位となる11度目の防衛に成功した。同級6位のオリバー・フローレス(24=ニカラグア)と対戦。得意のジャブで試合を支配すると、左ボディー一撃で仕留め、3回1分47秒でTKO勝ちした。陣営は4月ごろの次戦で米国に進出する方針で、対戦を熱望している前WBA世界フェザー級王者ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)と詰めの交渉に入る。内山の戦績は24勝(20KO)1分けとなった。
一撃だった。3回、内山は右の連打で攻め込むと、フローレスのガードが浮いた瞬間、狙いすました左ボディーをねじ込んだ。挑戦者が苦悶(くもん)の表情で倒れ、マウスピースを吐き出した瞬間に勝利を確信。大歓声に包まれた観客席に目線をやると、ゆっくりと右拳を上げて応えた。
衝撃的なKO劇に「(ボディーが)空いているのが見えた。ぐちゃっと拳が埋まった感じ。手応えもあったし、もう立てないなと思った」と自信に満ちた表情で振り返った。
痛みのない体が心地よかった。11年1月のV3戦前に負傷し、全力で打てなくなった右拳はこの1年でようやく回復。長年苦しんできた左肘痛も、5月に遊離軟骨の除去手術を受けたことで完治した。「5年ぶり」。100%の力で打てる喜びを1発1発のパンチに込めた。36歳での世界王座防衛は国内初。鍛え上げた肉体と強い精神力が衰え知らずの異次元のパフォーマンスを支えてきた。
けがを考慮し、休日でもボクシング以外のスポーツはやらない。普段の穏やかな雰囲気はジムに入った瞬間に一変する。集中力を高めることで、床に落ちている小さなゴミさえも見逃さなくなった。「ただ、自分より強いと言われるやつがいるのがいやなだけ。楽しいことでは負けたくない」。具志堅の記録に迫るV11も「超えることが目標ではない。勝っていって自然とそうなればいい」と通過点にする構えだ。
今後はビッグマッチ実現に向け、一気にかじを切る。陣営は、次戦で内山が希望してきた米国に進出する方針で、ともに対戦を熱望している27戦無敗の前WBAフェザー級王者ウォータースとの最終交渉に入る。渡辺会長が「向こうもやりたいと言っているし、実現すると思う」と話せば、内山も「ぜひやりたい。もちろん勝つ自信はある」と言葉に力を込めた。日本ボクシング界のエースが、5年連続の年末決戦を制し、満を持して海を渡る。【奥山将志】
◆内山高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日生まれ、埼玉・春日部市出身。花咲徳栄高3年で国体準優勝。拓大、社会人でライト級全日本選手権優勝3回、国体優勝1回のアマ4冠。アマ戦績91勝(59KO・RSC)22敗。05年7月、プロデビュー。10年1月にWBAスーパーフェザー級王座を獲得し、15年2月にスーパー王者に昇格。172センチの右ボクサーファイター。独身。
◆内山記録メモ 内山の世界戦KO数は10となり、9で並んでいた具志堅を抜いて国内の歴代単独最多となった。36歳1カ月での防衛で、自身の持つ国内最年長防衛記録も更新。トップを走る世界王座の在位期間は5年11カ月に伸ばした。世界戦でのKO率(5試合以上対象)は83%と歴代1位で、2位の具志堅(60%)を大きく引き離している。

