IWGPヘビー級選手権王者オカダ・カズチカ(28)が、名実ともに新日本の真のエースに立つ勝利を挙げた。挑戦者で長く東京ドームに君臨した棚橋弘至(39)を36分1秒、レインメーカー3連発で打ち破った。過去2度、苦杯をなめてきた「1・4」で棚橋に初めて勝ち、2度目の防衛に成功した。
必死に振りほどこうとする棚橋の右腕を、オカダは離さなかった。勝利への執念が、長年ドームに君臨した男を上回った。すべてをかけて放ったレインメーカー3連発。ついに悪夢を振り払った。今回で9度目のシングル対決で、最長の36分1秒の激闘に終止符を打った。
「勝因が何なのか分からないくらいの勝負。何回も棚橋さんに負けてきたけど、オレが新日本を上に持って行くという気持ちなんじゃないかな」と、勝因に気持ちを挙げた。13年、15年とIWGPヘビー級王座をかけて敗れ、唯一勝利した14年には、メーンの座をファン投票で棚橋に奪われた。11年から東京ドームのメーンで5連勝と、圧倒的な強さで君臨してきた王様を上回るには、強い気持ちしかなかった。
棚橋は遠くて大きな存在だった。05年8月。オカダはプロレス人生をスタートさせたメキシコにいた。そこへ、IWGPヘビー級タッグ王座を取ったばかりの棚橋が、中邑とともにやってきた。17歳の少年は道場2階の寮に住み、試合と練習に明け暮れていた。
日本からのスターとして大会場で試合し、夜はパーティーという待遇の棚橋と、実家からの仕送りで何とか生きられた練習生のオカダとは大きな差があった。「いつかは日本でトップになってやる」。その思いで屋外の会場や、場外にマットも置いていない過酷な環境で試合をこなした。
その厳しい修行が今、役に立っている。ドロップキックやレインメーカーなど大技が注目されるが、最も優れた技能の1つが受け身だ。昨年、試合の解説を務めた元全日本の小橋建太氏が舌を巻いた受け身のうまさ。「メキシコで劣悪な会場で試合をやったことで、どこでも受け身が取れるようになった」とオカダはいう。それが強靱(きょうじん)な体をつくり出した。新日本入団以来、故障での欠場は1度もないという。
「今日はビッグマッチも発表されたし、海外にもいく。いろんなところで金の雨を降らせていく」。棚橋という大きな壁を乗り越えたオカダは、晴れ晴れとした表情で16年の決意を口にした。【桝田朗】
◆オカダ・カズチカ 1987年(昭62)11月8日、愛知県安城市生まれ。中学卒業後の03年4月に闘龍門に入門。04年8月にメキシコ・アレナコリセオでネグロ・ナバーロ戦でデビュー。07年7月新日本入門。08年4月石狩太一戦で再デビュー。10年TNA参戦。12年G1初出場で史上最年少優勝。同年2月IWGPヘビー級王座初戴冠。プロレス大賞MVP3度。得意技はレインメーカー、ドロップキック。191センチ、102キロ。血液型A。

