元世界王者のガマリエル・ディアス(37=メキシコ)は、2年10カ月ぶりの試合となった元2階級王者粟生隆寛(33=帝拳)に0-3の判定で敗れた。

 1回に左右の強打で粟生をぐらつかせたが、3回にはダウンを奪われた。「正真正銘、最後の試合」と決めていた一戦。最終8回が始まる前には粟生と抱き合う場面もあった。「ボクシング人生で最後のラウンド。戦ってくれている粟生くんにも観客にも感謝の気持ちを示したかった。ボクサーとしての最後の姿を締めくくりたかった」と振り返った。

 「最後に日本で引退試合ができて感謝している。世界チャンピオンになるという夢を1度でもかなえられたことに満足している」と充実感をにじませながら競技人生を総括。傍らにはロサ・クラウディア夫人がピッタリと寄り添った。「普段は応援してくれる人のために戦うことが多かったが、今回は最初で最後、奥さんのために戦った。ああいう判定は出てしまったけど、自分では勝ったと思っている。いい試合になって良かった」と、終始柔和な表情だった。