「神童」那須川天心(19)がデビュー30連勝を飾った。日本拳法出身の中村優作(31)とキックボクシングルールで戦い、多彩な技で計4回のダウン奪取。2回1分42秒TKO勝ちを収めた。試合後には立ち技のトーナメント開催を提案。メインで秒殺KO勝利を挙げた堀口恭司(27)との対戦を熱望した。主催側は9月から立ち技のワールドグランプリ開催を決めた。

 すごみが凝縮された仰天の一撃だった。1回終了間際。那須川が恐ろしいカウンターを放った。「ひらめきました」。中村が鋭い踏み込みでワンツーを見舞うと、そこには体を逆さまにした神童がいた。初動をコンパクトにしたという胴回し回転蹴り。ほぼ練習なしで左のかかとを顎にヒットさせ、リングにはわせた。2回には左ストレートで3回ダウンを奪い圧勝。「ちょっと力んだ。入り込みを気を付けすぎた」と反省も、その鋭さにまさかぶっつけ本番で合わせるとは…。

 4月、アジアNO・1と名高いシンガポールのジム「EVOLVE」で1週間の出稽古。「ムエタイのレジェンドだらけ」の環境で、「こんなキックの打ち方があるのかと。新しいものに触れられた」。吸収力抜群に引き出しを増やし、進化を証明した。試合後には立ち技でのトーナメント開催を訴え、受け入れられた。堀口からの対戦希望を聞くと「本物の選手にそう見てもらえて本当にうれしい」と声を弾ませた。