ボクシングIBF世界スーパーフライ級1位船井龍一(33=ワタナベ)が4日(日本時間5日)、米カリフォルニア州ストックトンで、6度防衛中の同級王者ジェルウィン・アンカハス(27=フィリピン)に挑戦する。
母国では「パッキャオ2世」とも呼ばれ、7度の世界戦を経験する総合力の高い実力派王者と対峙(たいじ)する船井は、初の国外試合が今回の世界戦。05年2月にプロデビューしたベテランで、数々の挫折を味わいながら経験を積んできた。最近は日本同級王座を獲得して2度防衛、WBOアジア太平洋同級王座獲得、そしてIBF同級指名挑戦者決定戦を含めて7連勝(6KO)中と好調をキープしている。大舞台を前に船井は、このほど試合中継局のWOWOWのインタビューに応じた。
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-今回の世界戦が決まったと聞いた瞬間は
船井 ずっとボクシングをやってきて、日本、アジアと(タイトルを)とって、やっと世界戦という感じなのでうれしかったです。
-挑戦者決定戦に勝った瞬間から楽しみだった
船井 挑戦者決定戦に勝って今年中に世界戦をやるんだろうな、とは思っていましたけど、それが1戦後なのか年末なのかははっきりわからない状態で、その中ですぐ決まったのでモチベーションは上がりました。
-気持ちの面のコンディションはどうか
船井 バッチリです! 38戦やってきましたが、体も今が一番いいです。
-初の世界戦ですが、気持ちの変化は
船井 世界戦なので気持ちはすごく高ぶっています。これまでも毎試合毎試合もちろんそうでしたが、今は何をするにも世界戦のことを考えますし、1日1日を大事に過ごしているので、そういった面でもいつもより気持ちは入っているなと感じます。
-アルバイトを昨年いっぱいで辞めた
船井 今年は世界挑戦だと思ったので、ボクシング一本にするために辞めました。貯金を切り崩しながらやっています。18年間ボクシングをやってきて、ワタナベジムに入らなければ世界挑戦なんてできなかったし、とてもお世話になっています。33歳でもうチャンスもこないと思うので、人生をかけてやろうと思っています。
-世界挑戦に向けて変えたことは
船井 特にないです。普段通りにして、あまり新しいことを取り入れるのはよくないと思うので、いつも通りに過ごして、対策を(トレーナーの)高橋さんと一緒に考えています。
-自身の中での強みは
船井 ストレート系が自信あります。ジャブ、ストレート。なかなか当たらないとは思いますが、いかに自分のその武器を当てるかがポイントになるので、しっかり当たるような対策をとっていきたいです。
-高橋トレーナーは「船井選手もパンチはある」と言っていました
船井 もし僕の方がパンチがあっても当たらなかったらそれはそれで勝てないので、そういうのは特に気にしないで……顔を合わせたら“泥臭くても何が何でも勝つ”という覚悟を決めてやるので、どっちのパンチが強いとか関係なく戦いたいです。
-好調ぶりは自分でも感じますか
船井 日本タイトルをとってから気持ちの面が変わりました。それまではタイトルに挑戦しても勝てなくて、それはやっぱり気持ちだなと気付いたんです。そのときにまた日本タイトルのチャンスがきて、その相手が高校の同級生でした。その選手に勝つことで気持ちが強くなったと思います。そこから大事なタイトルマッチでもKOで勝てるようになったし、自信が全てだなと感じました。
-気持ちだなと思ったキッカケは
船井 ある日、田口(良一)元チャンピオンの試合を見たときに、後援者の方に『田口の目を見てみろよ。あいつ殺し屋の目をしているだろ』と言われたんです。確かにすごい目をしているなと。よく考えたら、自分は試合の時にそういう目をしていなかった。変にスポーツだと意識して、ボクシングに臨んでいたと思います。もちろんスポーツですが、やる本人からしたら殴り合いです。格闘技は倒し合いみたいなものなので、リングにあがるにはそういった殺し屋の目をしないといけないなと気付かされました。その同じ時期くらいに、いろんな方から『お前は優しすぎる』と言われ、そういった言葉もあり、変わるぞと思いました。そんな時に中川選手との試合が決まったので、親友相手にでもそういった気持ちで戦えれば自分は変われる、と思って日々気持ちを高めて試合にも勝つことができました。
-王者アンカハスの印象は
船井 全体的にうまい選手。センスがあってアグレッシブですし、カウンターをとることもできるし、上下の打ち分けもうまい。総合的に見て強いなと思います。
-ここは負けないというところは
船井 やはり気持ちですかね。
-具体的な戦略は
船井 とりあえず前に行かないと始まらないと思うので、自分から仕掛けたいと思います。
-理想の展開は
船井 本当の理想は、やはり倒して勝つことですね。でも勝てればそれだけで自分の人生が変わるので、まずは勝つことです。
-ベルトに対する思い
船井 日本とアジアのベルトも自分にとってはすごく貴重なものでしたが、今回は世界のベルトなので、それ以上に価値のあるベルトですし、なんとしてもタイトルをとります。
-世界戦の価値や意味は
船井 僕の分岐点。人生で一番大事な日ですし、一番忘れられない日にしたいと思います。絶対チャンピオンになります。
-注目してほしいところ
船井 ボクシングの技術に関しては井上(尚弥)選手とか拳四郎選手とかに比べると全然ないですが、気持ちや一発のパンチに自信はあるので、そこを見てもらいたいと思います。
-世界戦への意気込みを
船井 試合が決まってから今まで、1日1日、アンカハス選手のことを考えながら練習してきました。その日々を無駄にしないためにも、現地まで応援も来ていただけるし、WOWOWでもライブ配信や放送をやってくれるので、応援してくれる方々にも僕が勝った姿を絶対に見せたいですし、絶対に僕は世界チャンピオンになって帰ります。ボクシング人生というか、自分の人生をかけて挑みます。
◆放送 IBF世界Sスーパーフライ級タイトルマッチ12回戦は5日午前11時ごろからWOWOWメンバーズオンデマンドでライブ配信。6日午後9時からWOWOWライブで放送。