強打のWBC世界バンタム級王者山中慎介(30=帝拳)が、防御でも万全の策を完成させた。12日のV4戦を控えた9日に都内で予備検診が行われ、同級8位ホセ・ニエベス(32)とも異常はなかった。挑戦者はまたサウスポーとなったが得意は右フック。下位ランカー相手にも油断なく、防御をテーマにしてきた。ワンツーに続いて右パンチを繰り出し、空手流の突きで封じる作戦だ。

 検診を終えた山中は、自信の顔だった。「体重ももう少しでコンディションもいい。試合を待つだけです」。そう言って引き揚げ、この日は休養した。準備は整った。左の強打に加え、今回は防御にも磨きをかけ、秘策を完成させていた。

 3度の防衛戦はいずれも左構えの元世界王者が相手だった。今回も同じ左の上に格下。くみしやすいとみられるが油断はない。相手の得意は右フック。大和トレーナーは「あまりいい結果が出てない」と言えば、山中も「ダウンはみんな右なんで」と警戒。そこで防御をテーマに練習を積んできた。

 ニエベスはバックステップで距離をとり、右フックを狙ってくる。山中は右からのワンツーが基本に、左の打ち終わりに右フックがくると怖い。そこでワンツーの後に右を突き出して阻む作戦だ。当たらなくても相手は警戒して手を出せなくなる。空手の形で最後に突きを出すイメージだ。

 山中は相手との初対面に「イメージより全体的に小さい」と印象を口にした。実際にリーチは4センチの差。「データは気にしない」と言うが、優位は間違いない。大和トレーナーは「のみ込みが早いからすぐ出来た」と話す。「その前に左が当たれば終わります」と山中。「三の矢の突き」を出す前に、必殺の左をさく裂させるつもりだ。【河合香】