負傷を押しながら元気いっぱいに土俵を動き回る西前頭5枚目の嘉風(34=尾車)が、優勝争いをかき回した。

 2敗で優勝争いのトップに並ぶ小結高安(26=田子ノ浦)と激しい突き、押しの応酬の末、押し倒しで撃破。3敗に引きずり落とすとともに、自らは勝ち越しを決めた。

 「胸を合わせたら相撲にならない」と激しい突きっ放し。「そう思いながらも楽しんで相撲を取れた」とNHKのインタビューで答えた通り、張り返されてもひるまずアゴを引かずに応戦。最後は相手の左胸をひと突きすると、たまらず腰を砕くように高安を押し倒した。

 「土俵に上がれば集中力が高まる。それが相撲内容と結果に反映されている」と話し、3場所ぶりの勝ち越しにも「それは気にせず、とにかく集中力を高めて取れたのが良かった」と、何度も「集中力」の3文字を口にした。支度部屋に戻ると「めっちゃ疲れた」と首を垂れながらも「あと3番、いい相撲を取りたい」と気力を奮い立たせていた。