新大関高安(27=田子ノ浦)が1分半を超える我慢の相撲で、白星をもぎ取った。

 東前頭2枚目の栃ノ心(29=春日野)に右前まわしを許し、頭もつけられると、半身で上体も起きた。だが「左1本取っているから、焦ることはなかった。有利になるまで我慢しようと思った。自分がバタバタする必要はない」。寄りをこらえ続け、強引な出し投げも踏ん張ると、左四つで胸が合った。最後は、相手の巻き替えに乗じて寄り切り。「短時間で決まる取組が多かったけど、苦労して勝つのもいいですね」と満足そうだった。

 兄弟子の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)がこの日から休場した。話はしていないが、思いは背負っている。「千秋楽まで、自分が大関として頑張って、少しでもお客さんに喜んでもらえたら」。全勝の横綱白鵬、平幕碧山を1差で追う上位陣は、高安1人。稀勢の里のしこ名が入った浴衣を羽織って、さっそうと会場を後にした。