日本相撲協会執行部と貴乃花親方(45=元横綱)の対立が表面化する中、今日20日、ともに臨時の横綱審議委員会(横審)と理事会が行われる。元横綱日馬富士関の暴行問題は、被害に遭った平幕貴ノ岩への危機管理委員会による聴取が実現しないまま。それでも問題に関係した親方、力士には処分が検討される見込みで、19日は関係各所で準備が進められた。18日夜に、都内で行われた貴乃花一門総会が、決起集会の様相を呈していたことも判明した。
都内のホテルで行われた貴乃花一門総会の内情が、関係者の話で判明した。乾杯のあいさつは日本サッカー協会川淵三郎最高顧問。総会の最後に貴乃花親方が貴ノ岩について「順調に回復の道をいっております」「慌てずに復帰をさせるつもりでおりますが、社会復帰、心の傷まで癒やしてあげたい」と、約100人の出席者に向けて話した。
総会には阿武松親方(元関脇益荒雄)ら一門の親方衆が駆け付けた。貴乃花親方が「散るも咲くも同じ道を行くという気持ち」と話せば、立浪親方(元小結旭豊)は「貴乃花親方が理事長になるまで一生懸命応援します」と宣言。例年は忘年会として行われる総会が決起集会の様相を呈した。
一方、暴行問題の長期化が、本場所に影響する可能性が出てきた。協会関係者は「年末なので年間の協賛を再考する企業もある。初場所までに結論が出ない企業も多いはず」と話した。大相撲のイメージや信頼が失墜し、多くの企業が、懸賞を含めた協賛継続を見直しているという。
貴乃花親方が危機管理委による貴ノ岩への聴取を認めていないため、今日の臨時理事会でも最終報告には至らない。しかし、巡業中の酒席で起きた問題を、巡業部長を務める貴乃花親方が報告義務を怠った点が処分の対象になる。元日馬富士関の師匠として監督責任が問われる伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)と合わせて、理事からの降格もありえる。理事を降りれば、部長職も外れることになる。元日馬富士関は既に引退しているが、今後同様の事態が起きた場合に協会としてどのように対処するべきかの基準を残すために、厳しい処分案を議論する。
また酒席に同席しながら暴行を止められなかったとして白鵬、鶴竜の両横綱にも横審が処分を提言する可能性がある。北村委員長は「明日(20日)対応するので本日は発言を控えさせていただきます」とだけ、秘書を通じてコメント。診断書を提出せずに冬巡業を休場した貴ノ岩も、職務放棄として処分される可能性も否めない。何より協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)の責任も問われかねない。処分に次ぐ処分の可能性を残して運命の日を迎える。
◆日本相撲協会の処分 日本相撲協会は寄付行為施行細則で年寄、力士ら協会員に対する賞罰を規定している。処分は軽い順にけん責、報酬減額、出場停止、業務停止、降格(横綱には適用されない)、引退勧告、懲戒解雇の7種類。別の条項で解雇よりも重く退職金が支払われない除名処分があり、評議員会での特別決議が必要になる。
◆親方衆の役職 理事長、理事、副理事、委員、主任、年寄に分けられる。理事は、14年に公益法人移行後は10人以上15人以内で、このうち年寄=親方は10人以内で外部有識者は現在3人。互選で理事長1人を選出する。委員の中で特に必要ある者は理事会の決議で役員待遇として扱われ、理事会への参加が認められる。他の理事は兼務を含め、東京場所管轄の事業、大阪、名古屋、九州の各地方場所、審判、巡業、広報、警備、監察、生活指導、指導普及、総合企画、危機管理の各部署の部長を務める。任期は2年。