ジョージアから角界に飛び込んだ栃ノ心関が、春日野部屋46年ぶりの幕内優勝力士となった。厳しく指導してきた春日野親方(元関脇栃乃和歌)は「けがもあったけどよく立ち直った。うれしい」と、目には涙があふれた。普段はこわもてで辛口な親方が感極まった表情を浮かべた。

 名横綱の栃錦や栃ノ海を輩出した部屋を2003年に継承した。名門の看板を背負うことに大きな重圧を感じたが、妥協しなかった。11年には門限破りなどを理由に栃ノ心関らをゴルフクラブで殴打した指導が行き過ぎと指摘され、日本相撲協会から厳重注意を受けた。

 初場所中も春日野部屋での元力士による傷害事件が明るみに出るなど、騒がしい日々が続いた。それでも惑わされることなく優勝に突き進んだ栃ノ心関に、春日野親方は「いっぱい注意したし、やめると言ってくるのではと思った」と述懐した。

 両国国技館から一足先に部屋に戻っていた栃ノ心関から出迎えられ「おかげさまで優勝できました」と頭を下げられると、独特の低い声で「よくやった」。万感の表情でまな弟子を抱きしめた。