大相撲の前頭逸ノ城(26=湊)が、復活に向けて30キロ超の減量に成功した。

腰痛の影響で九州場所を全休したが、土俵上での稽古再開から3日目となった12日、埼玉・川口市の部屋で四股やテッポウなどの基礎運動で体を動かした。

9月の秋場所時点で体重は224キロと関取最重量を誇っていたが、体への負担が少ない体格を目指して約2カ月“ダイエット”を敢行。現在は192キロで、新入幕で快進撃を起こした5年前と近い数字という。

「(見た目の)変化が分かりますか? 下半身は変わらないけど、胸から上、顔も痩せた気がします」と胸部をさすって笑顔を見せた。

相撲を取るには程遠い状態だった。秋場所は「右肩関節脱臼」により途中休場。九州場所での復帰を目指して右腕をつるしたまま四股を踏んでいたが、慣れない体勢だったためか「バランスがおかしくなった」と、近年悩まされていた腰痛が再発した。

一時は自力で歩くことができないほど症状が悪化し、付け人の肩を借りてやっと移動できる状態。左足にも、しびれるような痛みが動かすたびに走った。

この腰痛が力士生命を見直すきっかけとなったという。「けがで番付を上下するのではなく、幕内の上で長く続けられるにはどうすればいいか考えた。相撲だけじゃなく私生活のためというのもある」。麺類やパンなど大好きな炭水化物を抜いて、肉や野菜を中心とした食生活に移行。

「つらかったけど自分のために…と。今のままだと近いうちにまた痛めると思って」。食生活を見直すとみるみる減量。重さを失うことで圧力が低下する懸念はあるが「これから基礎運動やトレーニングで筋肉はついてくる」と、自信をのぞかせた。

出場を目指す来年の初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)まで、この日がちょうど1カ月。若い衆を相手に四つに組んで動きを確かめる中で「まだまだ戻っていない。左右のバランスが悪い」と不安はまだまだ残る。それでも「もう終わった話だし、プラスに考えている。自分の体が分かったから」と表情は明るかった。「今は自分のできることをやってまた上に戻りたい」。

かつて大関候補と呼ばれた大器だが、まだ26歳。初場所は十両からの再出発となる見込みだが、復活へ着実に歩みを進めている。