連敗スタートで苦しい土俵が続いていた、現役関取最年長で東十両11枚目の豊ノ島(36=時津風)が、星を4勝5敗と盛り返した。

相手は、場所前に36歳の誕生日を迎えた同10枚目の蒼国来(荒汐)で、豊ノ島に次ぐ現役2位の年長関取。2人合わせて72歳の「シニア対決」で、豊ノ島はベテランの妙をいかんなく発揮した。得意のもろ差し狙いで、踏み込んだと同時に右が入った。左は相手のおっつけにあったが、前に出ながら巻き替えて狙い通りの二本差し。ここでも慌てず、ジックリ体勢を整えた。右のかいなを返しながら、しっかり下手を引く。左は相手の腰に自分の腰をぶつけるようにしながら上手を切った。反撃のいとまを与えず、万全の体勢で寄り切った。

今場所一番の危なげない内容の相撲にも、手放しで喜ぶでもなかった。「日に日に自分らしい相撲になっている」「いい意味での緊張感の中で相撲が取れてる」「序盤は堅さがあったけど、ここまで来たら思い切って相撲を取ろうと思ってる。踏み込みもいいし」。満足のコメントも、安堵(あんど)の表情で慎重に言葉を選びながらのものだった。十両残留には、あと2勝が目安。一進一退の土俵が続くだけに、自分を引き締めるように場所を後にした。