70周年記念作「ゴジラ-1・0」が3日公開された。原点である第1作の舞台を10年さかのぼり、終戦間もない日本に最新の特殊効果でゴジラがよみがえる。

主人公は特攻隊の生き残り敷島(神木隆之介)。特攻機の故障を装って降り立った南洋の島でゴジラに遭遇。屈折した思いで帰国した終戦後の日本で、再び現れたゴジラとの対決を余儀なくされる。

元特攻隊員が心に負った深い傷が効いていて、戦後の荒廃がいかほどだったかにいつの間にか思いをはせる。たまたま出会った女性(浜辺美波)や隣人(安藤サクラ)との疑似家族のような生活も、きっとそうだったのだと想像が働く。

日本近海に現れたゴジラは、水爆実験で膨大なエネルギーを注入され、敷島が南洋で見た時より、数倍パワーアップしている。

山崎貴監督だから、VFX(視覚効果)は間違いない。「ALWAYS 三丁目の夕日」の街並み、「永遠の0」の戦闘シーンで見せた手腕は一段と練れて、荒廃から立ち直りつつある東京の様子やゴジラの造形のリアリティーがワクワク感を満たしてくれる。

ハリウッドゴジラよりやや肉厚なフォルムや、その怒りを映すような背中のギザギザの動きに「原産国」の誇りを感じる。

そして、凶暴化したゴジラに戦後間もない日本はいかにして立ち向かったのか。ここでは詳述を避けるが、旧海軍の生き残りたちの折れない心がカギとなる。

海軍工廠(こうしょう)の開発者(吉岡秀隆)のアイデアには不思議な説得力があり、戦後の特殊任務を負ってきた艇長(佐々木蔵之介)の思いの熱さが伝わってくる。

幻の戦闘機と言われた「震電」が効果的に使われていて、ビジュアル面のアクセントになっている。終戦直前、B29迎撃のために開発されたこの震電はプロペラを機体後部に付ける独特な形状で、高度も速度も当時としては「超」が付く性能が試験飛行で確認されていたという。

ただ1機残されたこの震電の存在が、操縦技術だけはピカ一だったという設定の敷島の出番を呼び、終盤のクライマックスへとつながっていく。

喜怒哀楽に抑制を効かせた神木が好演。その敷島とは、南洋の島から因縁のある海軍整備士を演じた青木崇高の熱演が印象に残る。

特撮もドラマ部分も隙のない快作だ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)