女優上白石萌音(22)は、コロナ禍の中、仕事や生活リズム、自分の好きなことを丁寧に見つめてきた。7月に上演予定だった主演ミュージカル「リトル・ゾンビガール」は全公演中止が決まったが、生の舞台の素晴らしさを再認識する時間にもなった。

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(「リトル-」の中止は)こればかりは誰のせいでもないです。子供たちがたくさん見に来る作品なので、最もいい形の決定だったと思います。

文化の違いを認め、分かり合い、人と一緒に生きる-という、普遍的で今必要なテーマの作品です。台本を読んでボロ泣きしました。心配事が1つもない状況で、家族みんなで楽しめるようになってほしいですし、舞台だけでなくても可能性があれば、いつか、どんな形であれ、届いてほしいと純粋に願っています。

今回、エンターテインメント、特に演劇は大打撃を受けました。家にいる間、無料で(ミュージカル音楽の巨匠)アンドリュー・ロイド=ウェバーの作品を見られたりしたので、すごい! とうれしかったんですが、より一層、生の舞台への欲求が高まりました。やっぱり劇場だなあ、と。

映画もたくさん見ました。「巴里のアメリカ人」「素晴らしき哉、人生!」といった昔のハリウッド映画や、寅さんシリーズを見たり。そしてやっぱり、映画館に行きたくなりました。

とぎれとぎれに書いていた日記を再開したことで、丁寧にいろんなことを感じた時間が持てました。日記って誰も読まないはずなのに、気を使って書いていることに気が付いたんです。そこから本音が書けるようになりました。自分の心の機微を見つめることができて、感じたことやこの時間は忘れたくないです。

体と心はとても健康でした。私はもともと、歌を歌う時間が長ければ長いほど心が健康でいられるので、たっぷり時間はありました。体の健康は、映画とドラマでご一緒してからかわいがってくださっている山本耕史さんが筋トレのアドバイスをくださるんです。何日かごとに「筋トレしてる?」って連絡が(笑い)。筋トレするとよく眠れますね。眠(ねむ)活にもこだわって、キャンドルや古い映画のサントラで心地よい空間にして楽しんでいました。

もう少し落ち着いたら、やっぱり劇場に行きたいです。あとはカラオケです!

(構成・小林千穂)

◆上白石萌音(かみしらいし・もね)1998年(平10)1月27日、鹿児島県生まれ。11年「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞。同年、NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」でデビュー。14年、「舞妓はレディ」で映画初主演。ほかに映画「君の名は。」「ちはやふる」など、ドラマはTBS系「陸王」「恋はつづくよどこまでも」など。舞台は「赤毛のアン」「ナイツ・テイル-騎士物語-」など。16年、歌手デビュー。新曲「夜明けをくちずさめたら」が先月リリース。152センチ。