からっとした陽光の中に昭和を思い出させる風景が広がり、家の内外にはアートなオブジェが点在する。

アーティスト移住支援をうたう海辺の街を舞台に、14歳の美術部員・奏介のひと夏の成長を追う物語だ。

知る人ぞ知る三好銀のコミックを原作に独特のユーモアが国際的に評価されている横浜聡子監督がメガホンを取った。

もの作りに熱中する奏介と仲間たち、温かく見守る大人たち…平和な街にもコロナ禍の痕は残り、詐欺師や借金取りも押しかけるが、浮世離れした空気にのみ込まれ、なぜか深刻な事態には至らない。

当たり前の日常の中にどこか「ヘン」な要素を盛り込みながら、ユルッと進行する横浜演出が心地いい。ロケ地小豆島の空と海の青を背景に怪しい露天商の口上までが不思議とアートに聞こえてくる。

オーディションで主演に選ばれた原田琥之佑は祖父原田芳雄さんの自然体を受け継いでアートに打ち込む中学生を実感させる。高良健吾、坂井真紀らが脇を固め、風来坊の詐欺師の恋人にふんした唐田えりかのセリフ「この街、また来たい」が効いている。酷暑の一服となる癒やし系の作品だ。【相原斎】

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