「人類史上最も成功したエンターテイナー」としてギネス世界記録に認定された「キング・オブ・ポップ」マイケル・ジャクソンの人生を描いた、単なる伝記映画ではない。映画を見に行ったつもりが、終わってみたら大規模なライブを全身で体感した気分になれる、一大エンターテインメントであり人間ドラマだ。
製作のグレアム・キング氏は、音楽伝記映画として史上最高の全世界興収9億1100万ドル(約1009億円)を記録した18年「ボヘミアン・ラプソディ」を手がけた。同氏は終盤で描かれる、マイケルが7万2000人の観客を前に「BAD」を披露した、88年の英ウェンブリー・スタジアムライブも実際に鑑賞。遺産管理団体のマイケル・ジャクソン・エステートが、実際に楽曲を書いた場所での撮影を許可し、直筆のメモ、資料等も参考にしており、史実の再現度は高い。
何より、マイケルが10歳だった69年にデビューした兄弟グループ「ジャクソン5」メンバーの兄ジャーメインの息子ジャファーがマイケルを演じた。自分も住んだマイケルの旧宅ヘイブンハーストで2年間、足から血が出て感覚がなくなるほど毎日練習し、部屋を作り、壁一面にマイケルの直筆のメモ、資料をはり研究した。そうして作り上げた踊り、芝居は単なるモノマネではなく、マイケルを生きること、そのものとしてフィルムに刻み込まれた。
少年時代にスターになり、ムーンウォークなどのダンス、ジャンルを超えたポップで音楽を塗り替えたマイケルが、個人、表現の自由をつかみ取るまでの日々を丁寧に描いた。その上で、披露される全27曲の名曲…今年、必見の1本だ。【村上幸将】
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