ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ~

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店主のこだわり詰まった世界唯一の「古墳カレー」

日本最大の前方後円墳「仁徳天皇陵古墳」(大山古墳、堺市)を含む大阪府南部の「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」が世界文化遺産に“内定”し、古墳グルメに注目が集まっています。その中でも世界で唯一の「古墳カレー」には連日、全国各地、海外からも古墳ファン、古墳女子が訪れる人気ぶりです。仁徳陵近くの食事処「花茶碗(ちゃわん)」が08年に売り出した「古墳カレー」(サラダ付き、1000円)。店主の中屋麗子さん(72)によると、世界遺産に内定後、古墳カレーを目当てに「お客さんの数が倍になった」そうです。 前方後円墳の形に盛ったご飯の周りをルーがぐるりと囲みます。ルーは古墳を守るお堀をイメージ。スコップ形のスプーンとフォークを使うと、古墳を発掘する気分を味わいながら食べることができます。ご飯の中から突然、ラッキョウが出てくることも。「古墳のお宝をイメージしました。せっかくだから、楽しんでほしい」。遊び心はたっぷりです。

古墳カレーで古墳ファンをおもてなしする中屋麗子さん(撮影・松浦隆司)
古墳カレーで古墳ファンをおもてなしする中屋麗子さん(撮影・松浦隆司)

中屋さんは結婚して堺市に移り住み、堺市内にある会社の寮母として、60歳まで働きました。独身社員の食事を作ってきました。61歳のとき「やっぱり料理を作るのが楽しい」と同店をオープン。なんとなく思っていたコンセプトは「老いも若きも集えたらいいな」でした。

古墳の近くにあったことで、古墳調査する専門家らが来店するようになりました。中屋さんにとっては、それまで古墳はあって当たり前の身近な存在でしたが、出店を機に歴史を学び、市民団体「堺百舌鳥歴史探検隊」の会長になりました。08年には専門家の「なにか、古墳らしい料理があれば…」と提案を受け、古墳カレーを考案しました。知人の薦めもあり「古墳カレー」は11年に商標登録しました。

世界で唯一の「古墳カレー」は「こだわり」がいっぱい詰まっています。ルーは、3日かけて煮込んだ牛すじや羽曳野特産のイチジクなどが入っていて、とってもフルーティーです。お皿は中屋さんが陶芸教室で自作しました。ルーの上にあるハート形の目玉焼きは古墳を大切にしてきた堺市民や国民の心、ブロッコリーは古墳の森、カボチャは鳥居をイメージしたそうです。

探求心が旺盛な中屋さんは新作を次々に作り、いまでは古墳カレーシリーズは「古墳カレースパ」「古墳オムカレー」(サラダ付き、各1000円)など7種類に増えました。店は不定休ですが、連日の古墳カレー人気で、ちょっとお疲れ気味。5月28日、29日はひさしぶりに休業するそうです。

「百舌鳥・古市古墳群」は6月30~7月10日にアゼルバイジャンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に世界文化遺産に決まる見通しです。

いまやすっかり古墳女将(おかみ)となった中屋さんのもとには全国各地、世界各国からも古墳ファン、古墳女子が訪れています。「古墳カレー」を始めてから店には表紙に「古墳カレー」と書いたノートを置くようになりました。来店者が古墳の絵を描いたり、メッセージを寄せます。今月に入り、ノートは9冊目に入りました。「以前に来店してくれたカップルが結婚の報告に来てくれたりします。なにか自分の子どもが家に帰ってきてくれたみたい」。

令和に入り最初の世界遺産。もっとコーフンする正式決定の日に向けて、古墳女将はスコップ型のスプーンとフォーク10セットを新たに注文しました。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

 ◆村上久美子(むらかみ・くみこ) 大阪(泉州)生まれ。91年入社。関西の芸能社会を中心に取材。吉本興業、宝塚歌劇、短期間ながら阪神タイガースと、関西発の3大ホットコーナーをはじめ、NMB48まで、取材歴は20年以上。

 ◆松浦隆司(まつうら・たかし) 大阪生まれ。92年入社。関西を中心にスポーツ紙の社会面担当としてエロから政治まで、ダークサイドも含め取材歴は20年以上。和歌山毒物カレー事件、橋下徹前大阪市長は茶髪弁護士時代から取材。

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