花組新トップ柚香光(ゆずか・れい)は、就任後の初主演作「DANCE OLYMPIA」で、フラメンコ、カポエイラ、和太鼓に挑戦。20年、オリンピック(五輪)イヤーの幕開けに世界の踊りを披露している。武器のダンスを存分に発揮するダンスコンサートは、22日まで、東京国際フォーラムで上演中。

花組新トップとして初主演作に臨んでいる柚香光(撮影・加藤哉)
花組新トップとして初主演作に臨んでいる柚香光(撮影・加藤哉)

5年半に及び花組を率いてきた明日海りおの後任に就いた。新年を「闘いの1年」と表現。気持ちは「前へ」「前進」と口にした。

「自分の熱量、ピンと張り詰めた集中力…楽しみながら向かう空気感、稽古場全体の雰囲気も(自身で)、下級生にいたるまで変わる。私が、楽しんでやれたら伝わっていくと思う」

フラメンコ、和太鼓、ストリートダンスにカポエイラ…。世界各国を代表するダンスに臨む。キレ味抜群のダンスは大きな武器だ。

「和太鼓も(ゲームの)太鼓の達人はありますけど(笑い)。免許持ってないのに、マリオカートは得意というようなもの。太鼓で手が豆だらけ。カポエイラは足、全身が筋肉痛で」

稽古中、時間に追われつつも充実感はあった。

「誰か時計を回して(進めて)んじゃないかって(笑い)。(精神的に)コップに水が満杯というか、限られた時間の中でどうこなしていくか。挑戦でした。(トップとして)最初のアクセルを踏める公演としては、すごくパワーになる」

明日海は「(柚香は)いずれ同じ立場に」と見ていた。柚香も、明日海の飽くなき探求心、ストイックさ、組子との接し方まで、日々「学び」だったという。

「(明日海の花組異動時は)私が研究科5年ぐらいですかね。ちょうど慣れてきて、わんぱくで、自分のしたいことをし始め…」

蘭寿とむの退団を受けて明日海がトップに就いた。

「(明日海本役の)新人公演主演、卒業…節目ごとに、明日海さんの見え方、距離感も変わって、信頼関係の築き方も学べました」

近くで学んだ帝王学。明日海が退団時、組子個別に送った手紙にも感謝する。

「『(組子は)家族以上にいとおしい存在だと、本当に思えている』って。みんなのためなら、いくらでも頑張れると思えると書かれていて。トップさんは孤独とよく言いますけど、そのタイプの孤独はまったく怖くないと思えました」

柚香も「組子へのいとおしさが爆発中」と言い、リーダー像も描きつつ進む。

「人とお稽古することが好き。その人の本来もっている良さ、武器、感性がきちんと自覚でき、生かしていけるような導き方を。俺についてこい! ではなく、私がおもしろがって前のめりにやっていることで、みんなが盛り上がっていく構図になるのかな」

自身の変化も感じる。「『孤』の人として、すがすがしい、勇気があふれてくる『独(り)』になろうとしていて(それが)心地いい」。ひとあし早く、昨年末にトップ初主演作を終えた星組新トップ礼真琴は同期。「心強くもあり、プレッシャーでもある」と、礼への本音を吐露した。

「助け合える部分もある。でもだからこそ、自分のカラーや向かうべき壁であるということも、まったくタイプの違う舞台人だからこそ、強く実感します」

新年は「脳みそを使って。闘いの1年になる」。覚悟も決め“光”のさす方へ進む。【村上久美子】

◆Grand Festival「DANCE OLYMPIA」-Welcome to 2020-(作・演出=稲葉太地) ダンサー柚香光の魅力を存分に見せるダンスコンサート。1幕は、ギリシャ神話の英雄が現代にタイムスリップして起こる様をストーリー仕立てに描くショー。2幕で、世界の多彩なパフォーマンスを繰り広げる。

☆柚香光(ゆずか・れい)3月5日、東京都生まれ。09年入団。花組配属。14年2月「ラスト・タイクーン」で新人公演初主演。同6月「ノクターン」で宝塚バウホール初主演。15年8月の台湾公演でオスカル。17年「はいからさんが通る」で外部劇場に初主演。19年6月には東京で「花より男子」に主演した。身長171センチ。愛称「れい」。