人気漫画を原作にした「ミュージカル浪漫 はいからさんが通る」。新人公演は、今春から最終7年目の一之瀬航季が初主演。宝塚は3月31日、東京は5月21日。(公演日程はいずれも予定)

トップ娘役を2人輩出し、男役は同じ花組に聖乃あすか、月組の風間柚乃、星組の極美慎ら期待のスターがそろう100期生の1人。仲間の背を追う一之瀬航季は、新人公演最終の7年目で初主演をゲットした。「いつかは自分も(主演を)の気持ちはずっとあった」。自身も涙し、先輩も後輩も泣いてくれた。

発表前は「ソワソワして、エレベーターで降りる階と違う階で…」と笑う。今作は柚香光が代表作の再演で迎える本拠お披露目。稽古場では、柚香の体の使い方、細部まで研究している。

「まず、まねをして、どうすれば自分らしさが出るのか考えて。できなかったところは、次の稽古までに絶対に直していく。(柚香は)見捨てずに見てくださる」

以前は、男役としてのビジョンに悩んでいた。「男らしさを武器にできるんじゃないか。大人の男性であり、宝塚らしさと華やかさも持った男役に」。前作「A Fairy Tale」新人公演で、瀬戸かずやが本役だった強欲社長役が転機になったという。

宝塚を知ったのは小学生のとき。母が将来の道を決めさせようと、多様な公演を見せてくれ、そのひとつに宝塚があった。

「私の中では、宝塚しか記憶にないぐらい、その瞬間、直感で入りたいと思った」。バレエから習い始め、高校に入り受験して一発合格。バレエの振りでジャンプが多く「1年で11センチ伸びた年も。キノコのように」と笑い、173センチの長身に感謝した。

ファン時代にあこがれた明日海のもとで、芝居への飽くなき探求心を吸収。「おけいこ場では、つらさ、悔しさを見せないと誓っています」。同期の主演に焦りはあっても、劇団レッスンは欠かさなかった。

「研1の頃は(本拠地作以外に)出られない時もあって、独学でギターを。でも余興のネタみたいになっています(笑い)」

芸名は「瀬」のさんずい、「航」の字を軸に、「海、空へ-高い所を目指して旅するぞ」との思いを込めた。努力を重ね、ようやくスターの海へ飛び出した。

☆一之瀬航季(いちのせ・こうき)3月15日、千葉県松戸市生まれ。14年入団の100期生。組回りを経て15年花組配属。18年「MESSIAH」新人公演で柚香、昨年2月「CASANOVA」新人公演は夏美ようが本役と、多彩な役柄に挑戦してきた。身長173センチ。愛称「はなこ」。