10月13日付で退団する雪組トップ彩風咲奈は、昨年12月末に大阪市内で会見を開いた。スーツ、シャツ、靴まで白で統一。緊張の面持ちから徐々に笑顔も見せ、ファンへ、雪組の仲間へ、感謝の言葉を繰り返した。サヨナラ公演は兵庫・宝塚大劇場で7月開幕の「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」。新人公演で主演した思い出の役で、東京宝塚劇場千秋楽をもって退く。

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-退団を意識したのは

彩風 就任した時から、次に私がする一番の大仕事は、宝塚を卒業することだなと頭にありまして。具体的に「いつ」とは決めていませんでしたが、私はやはり、宝塚の男役が大好きで…。でも、毎日毎日の舞台に、自分が「ベスト・パフォーマンス」で出ることが一番だと感じておりますので、どこまでお客さまに良いものをお届けできるか-。これぐらいの時期かなというのは考え始めました。

一番強く思ったのは(コロナ禍で延期上演となった22年夏の)「ODYSSEY(オデッセイ)」。お客さまの温かさに…。今でも思い出すと、もう、本当に涙が出るぐらい、幸せな公演でした。その時、(退団への準備が)そろそろかなって。

-雪組の仲間にはいつ伝え、どんな反応だったか

彩風 会見の少し前に。皆さん、すごく温かく受け入れてくれました。いつも通り稽古も。本当に何か特別にということもなく。退団を決意してからは、自分だけが分かっているのが寂しくなってしまったりして(笑い)。皆さまにも早くお伝えしたかった。来年も雪組で頑張っていくという(一丸となった)気持ちで臨みたかった。

-トップ娘役の夢白あやには

彩風 この(「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」「FROZEN HOLIDAY」)お稽古が始まってすぐ、伝えました。彼女とはやっと1年ですので、あやちゃんには「自分の宝塚人生をまっとうした」と思える時に退団してほしいと言いました。その後、彼女から「自分はまだ宝塚でやりたいことがあるので」と言われました。

-退団までカウントダウン、どう過ごしていくか

彩風 私は自分でも、かっこいいトップスターじゃなかったと思っています。雪組の男役の集大成としてはもちろんですけど、これからもかっこつけることなく、いろんなことに挑戦して、転んでもがいて、体当たりで、最後までやりたいと思っています。

(雪組は)ほんとにみんな優しい、どんな時も見守ってくださるような。上級生も下級生も、自分をさらけ出せる環境を作ってくださった。みんなが温かい組を作ってくださった。

-かっこいいトップスターではなかったと思う理由は

彩風 思い描いていた、自分が見てきたトップスターさんに比べて、今も。まだまだ、どの方にも届いていない。まだまだできるんじゃないか? というのがありまして。1回の公演に練習100回とか、私は不器用ですし。そんな私を、コソコソ(練習を)やらなくても、みんなが100回の練習を見てくれる。そこが違う。自分の理想の中ではトップスターさんは完璧-というのがあって、私の中での「かっこいい」とは離れていて(笑い)。

-退団公演は「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」に。新人公演でも主演した思い出の役のひとつ

彩風 たまたまです(笑い)。(任期が)これぐらいかなと思っていたところに演目をいただいて。そもそも、2001年にベルばらを見て、宝塚に入りたいと思ったので、ぜひ、このフェルゼンで退団したい。あらためて思いました。

-宝塚とはどんな存在だったか

彩風 夢、トキメキでした。男役として、自分自身もトキメキを忘れないように。(次世代へは)次の新しい時代の宝塚を、私自身も本当に楽しみにしたい。

-ここまで一番うれしかったことは

彩風 ありすぎて、1つには絞れないんですが、もう本当に一番幸せだなって思う瞬間は、雪組の上級生、組長さんから一番下の下級生まで、笑顔を見ている時が本当に幸せ。宝塚も大好きですけど、やっぱり雪組がほんっとに大好きで、皆に、何かお返ししたいという思いでいっぱい。

何げない、みんなとお稽古してる時とか、お客さまに拍手、笑顔をいただいた時とか。雪組のみんなと「今日も1日終わったね」ってなる瞬間とか。そういう何げないものが、楽しく、うれしい瞬間です。

-下級生時代から抜てきが続き、雪組生え抜きでトップ就任。コロナ禍も乗り越えてきた。逆に、つらいとき、支えになったのは

彩風 どんな時も支えてくださる、手を差し伸べてくださる方がいらっしゃいました。その時々に、一緒に頑張ってくれる、一緒に乗り越えてくれる仲間が、本当に私の周りにたくさんいました。それが一番。

-公演計画の変更など、過渡期にある宝塚歌劇団に、今後望むことは

彩風 私たち、「望む」というより、1回1回の公演で頭がいっぱい。支えてくださるファンの皆さまに何がお届けでき、どれだけお返しできるのか。これを考えていくことで、頭がいっぱいです。【村上久美子】