司会者が読み進める未発表のミステリー小説の犯人を当てたら賞金100億円ー「ミステリー・アリーナ」(22日公開)は、そんな推理クイズ番組を舞台にしている。

深水黎一郎氏の原作は三つのパートが巧みに織り上げられている。小説を読む司会者の脳内イメージを特殊な装置で映像化した推理パート、その映像を見ながら推理を巡らせる番組スタジオ、そしてその裏側だ。

「トリック劇場版」や「20世紀少年」の堤幸彦監督がその複雑な構成を力技で1時間56分にまとめている。

持ち前の即応力で番組を仕切り、巨大な企業グループの統括者でもある主役の樺山桃太郎。アフロとサングラスの70年代風のファンキーないでたちは、演じる唐沢寿明自身のアイデアだそうで、かなり「クレイジー」なこのイケイケキャラを思いっきり楽しんで演じている。

厳しい予選を勝ち進んだ6人の回答者は、優れた推理力が共通項だが、それぞれに個性的だ。最年少にして予選正答率1位の天才少女に芦田愛菜がふんしていて、ぎらぎらの権力者、樺山に挑む姿にスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんのけなげな姿が重なって見える。

映画は純粋な謎解きから、しだいにその裏側のドロドロに比重を増し、謎は重層的に深まっていく。

推理小説の一文字一文字に込められたトリックやヒント、そして舞台裏のおぞましい様子を、堤監督ならではの手腕で映像化している。

回答者は他に鈴木伸之、玉山鉄二、奥野壮、野間口徹、そして浅野ゆう子と多士済々だ。

樺山の本当の狙い、そして回答者の運命は…。原作を読んでから映画を見るか、あるいはその逆か? と聞かれれば、見てから読む方がお薦めかもしれない。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)