広々とした会場には白机の上にマイクが置かれている(撮影・横山健太)
広々とした会場には白机の上にマイクが置かれている(撮影・横山健太)

吉本興業の岡本昭彦社長(52)が所属タレントの闇営業問題に端を発する一連の騒動について謝罪した会見は、午後2時から同7時半まで、5時間半に及んだ。要領を得ないやりとりが多く、取材陣も戸惑い、ざわつき、ぐったりの5時間半だった。

序盤、雨上がり決死隊宮迫博之、ロンドンブーツ1号2号田村亮らとの会談で言ったという「テープ回してないだろうな」という発言について。「発言の意味」というシンプルな質問に対し、飛び飛びの状況説明を延々と続け、取材陣もきょとん。質問したリポーターが何度か話を本線に戻した末、ようやく答えたのが「和ませようと冗談で」という答えだった。

その後も、質問に対する答えがなかなか帰ってこないグダグダな展開に、取材陣も「簡潔にお答えいただきたいのですが」の前置きが必須に。午後5時すぎに10分間の休憩をはさんだ際には、「言っていることがよく分からない」「メモをとっても文脈を見失う」「『意味が分かりませんでした』と言った宮迫の気持ちがよく分かる」など、困惑の声があちこちで聞かれた。

視線を落とす吉本興業の岡本昭彦社長(撮影・横山健太)
視線を落とす吉本興業の岡本昭彦社長(撮影・横山健太)

2時間を過ぎると、後から来たメディアが同じ質問を繰り返す流れになったのも、エンドレス会見につながった。午後6時すぎ、進行係が「同じ質問が続いている」「質問はあと3個まで」と仕切ったが、「質問の手が上がらなくなるまで続けるという約束ではないのか」と怒声を上げる社もあり、会見続行。同じ質問が出るたびに取材陣からもため息が漏れ、岡本社長も明らかに疲れている様子。広報や法務担当者が代わりに回答する場面が多くなった。

4時間を過ぎると、PCのバッテリーが危うくなる記者があちこちに見られ、電源を探しに会場の外に出たり、液晶の照度を極限まで絞ったり。冷房効きすぎの会場に音を上げて外に出る人、メモをとるのをあきらめた人など、取材席もさまざまな光景がみられた。5時間を超えると、会場後方のムービーカメラの放列も立ちっぱなしで疲れたのか、背より高い三脚ごとカメラを倒し、ガシャンという大きな音を岡本社長が気遣う一幕もあった。

「会見するなら連帯責任で全員クビ」は「場をなごませるための冗談」であり、「日常的なパワハラの事実」については「部屋で1人でいるので、ない」。「大崎洋会長からどんな言葉を」との質問には「しゃべりすぎて忘れました」と回答した。減俸50%で社長職にとどまる判断は甘くないかとの質問には「社内で考えます」、「岡本社長にしかできないことは」「みんなに後で聞いときます」。最後は事務方の責任者たちがマイクをとり、「愛のある社長」「夜中にメールしても返事をくれる」などとヨイショスピーチの謎展開。しゃべりひとつの捨て身の会見で形勢を逆転した宮迫、亮の説得力とは対照的に見えた。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)

謝罪会見に臨む宮迫博之(左)と田村亮(2019年7月20日撮影)
謝罪会見に臨む宮迫博之(左)と田村亮(2019年7月20日撮影)