大相撲元横綱千代の富士の九重親方の訃報が伝わった7月31日、各界の友人も悲しんだ。同じ北海道出身の細川たかし(66)は動揺のあまりに絶句した。

 35年以上の交友関係があった細川は、訃報に絶句した。この日は、偶然にも北海道に滞在していたが、関係者から電話で伝え聞くと「ちょっと待てよ。そんなバカな…。それ、本当なのか」と言った後、続く言葉が出なかった。しばらくして「この年になれば、誰が亡くなってもそれほど驚かないもんだけど、親方は信じられんぞ」と言って在りし日の姿を思い浮かべていた。

 九重親方の現役時代、三役に昇進した80年ごろに、同郷ということもあって知り合った。世界は違うが、ともに屈指の大酒豪。すぐに意気投合して、東京・銀座などで酒を酌み交わしたという。「若い時から『お互いに北海道の田舎から出てきた者同士、なめられんよう、頑張らにゃいかん』と励まし合ったな」と懐かしんだ。

 千代の富士として翌81年に初優勝、大関、横綱昇進と一気に出世した。細川も82年「北酒場」、83年「矢切の渡し」で日本レコード大賞連覇を果たした。約束通りに、それぞれの頂点をつかみ取った。「親方は小さい体1つで、僕ものど1つで、貧しさからはい上がった。親方は5歳年下だけど、苦労を歩んできた同志と思っていた」と神妙に語った。

 最後の対面は昨年5月31日、東京・両国国技館で行った九重親方の還暦土俵入り。細川は国技館で祝いの美声を響かせた。「あの直後に病気で手術を受けた時も驚いたけれど、こうなることは最後まで想像できなかった。僕も広く国民に愛されるような“横綱”にならなきゃいかんと思うよ」。豪快な細川も盟友の死に悲しみを隠せなかった。【瀬津真也】