上方落語家協会会長の6代目桂文枝(73)が4日、大阪・なんばグランド花月で、芸能生活50年記念「半世紀落語会」を開き、終演後に感涙した。

 ゲストの桂歌丸(80)は、酸素ボンベを着けたまま「笑点」ネタをまじえたよもやま話を10分ほど披露。文枝は、その姿に「落語家の義理と人情というか、ここまでして来てくださって、申し訳ない思いです」と言い、堂々とした声の張りだった歌丸の高座姿に感動。「舞台袖から泣きながら見ていました」と振り返った。

 終演後の取材会でもその様子を思い出したのか、感極まった様子で、目にはうっすら涙。「歌丸師匠とはお話というか、(文枝が感動して)言葉にならなかった」と語った。

 自らは、練り上げたネタではなく、271本目となる創作の新ネタ「大・大阪辞典」と、師匠の5代目文枝から約47年前に習った「愛宕山」をネタ下ろし。三枝時代の「背なで老いてる唐獅子牡丹」をまじえて、3席を演じた。

 「50年の歩みの自信作をやろうかと思ったけど、あえて新作に。新しいことにチャレンジしてきたのが私やからね」

 また、今後の壮大なプランとしては「富士山で落語会」をぶち上げた。

 「十数年ほど前、いっぺんやろう思うて、富士山登ったら、9合目で高山病になってリタイアしまして、今度はきっちり会社(吉本興業)にも計画してもらって、実現させたいなあ、と。お客さんもですが、取材の方、記者さんもぜひ一緒に登ってもらいたい」

 普段、新幹線の移動で、車中から富士山を眺め、思いついた計画だそうだが、実際に富士登山の経験は「ないですね。リタイアした1回だけ」。それでも、チャレンジ精神で芸能生活50年を迎えた男は「新たなチャレンジ」として、富士山落語会に照準を定めている。