宝塚歌劇団の星組トップスター、紅(くれない)ゆずるが21日、大阪・梅田芸術劇場で、主演公演「オーム・シャンティ・オーム~恋する輪廻~」の公開通し稽古を行い、客席から見守った原作インド映画のファラー・カーン監督から「インドに連れて帰りたい」と絶賛された。

 同公演は宝塚初のマサラ・ミュージカルとして、今年1月、紅のトップ初主演作として東京で上演。今回、地元・大阪での再演になった。大阪出身でコメディー・センスは随一の紅だけに、笑いと涙の奥が深いインド映画の世界観を見事に表現。稽古後、紅とともに取材に応じたカーン監督は「こちらのヒーロー、とってもすばらしい。タレントに男女は関係ないんだと思った。びっくりしました」と言うと、紅の肩に抱きついた。

 カーン監督は、宝塚歌劇が、女性だけの集団によるミュージカルであることに、あらためて驚いた様子。監督は、相手娘役の綺咲愛里(きさき・あいり)とともに「ダンスもすばらしい。この人たち、みんな『ボリウッド(インド映画界)』に連れて帰りたい。次の映画は日本で撮りたいわ」と、感心しきりだった。

 そんな監督からのラブコールを受けた紅、綺咲はともに関西出身。紅は「私たち関西人は、一番、インターナショナルだと思ってるんで。発散型ですから」と満面笑みで、監督のラブコールに感謝した。

 今回の大阪公演では、客席と一緒に踊るアンコールを追加。紅は「お客様にもひと汗流していただかないと成り立たない。楽しんでいただけたら、じゃない。楽しんで“ください”」と強調して笑わせた。

 綺咲も「すてきな作品を再演できて、とてもうれしいです」と話していた。

 作品は、70年代と現代のインド映画界が舞台。脇役俳優のオーム(紅)は人気女優シャンティ(綺咲)に恋をし、彼女を謀略から救おうとするが、事故死してしまう。その30年後、事故の日に生まれ、オームと命名された男児が、スター俳優になり、時を超えても変わらぬ愛の姿を描く。

 今年は「ドリームジャンボ宝くじ」のイメージキャラクターとして役所広司らとCMに出演し、話題を呼んだ紅が、インド映画独特の振り、しぐさを表現。抜群のコメディー・センスが生かされた作品になっている。

 公演は同劇場で22日に開幕し、8月7日まで。