9月16日に引退する安室奈美恵(40)が3日、全国5大ドームツアー「Finally(ファイナリー)」最終公演を東京ドームで行った。
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5月、ステージから約100メートル離れたスタンド席から安室を見た。客席に背を向けて、ステージ後方に歩いていく姿がかっこいい。歩きながら、どの角度に首をかしげ、腕を振れば、最前列でも2階席でも、巨大スクリーンでもかっこよく見えるのかが、分かっているのだろう。どこからでも、私をご覧なさい。そんな声が安室の背中から聞こえた気がした。
96年8月31日、安室の千葉マリンスタジアム公演を取材した。18歳11カ月のスタジアムライブは史上最年少。スタートから全力で歌い、踊り、左右130メートルのステージを駆け抜けた。スピード感に幕張独特の強風も加わって、ロングヘアが大きくゆれた。あまりに全力投球が続き、どこかで声が出なくなったり、ばたりと倒れるのでは…と思わせるドキドキ感も、ステージのエッセンスだった。
22年がすぎ、踊りにも歌声にも、ほどよい余裕が漂い、いざアクセルを踏んだ時のスピード感を倍加させる。手玉に取られているのが楽しい。たった1人で、広いスタジアムを支配できる女性アーティストが、今の日本にいるだろうか。2020年7月24日、東京オリンピックの開会式で安室を見たい。世界に安室奈美恵を紹介したい。引退するのが信じられない。【文化社会部長・久我悟】



