フジテレビ開局60周年記念の東山紀之(52)主演のスペシャルドラマ「砂の器」(3月28日午後7時57分)の制作発表が19日、茨城・つくば市で行われた。

作家松本清張氏の不朽の名作が原作。東山は都内の雑踏で起こった殺人事件の真相を追う刑事役・今西栄太郎。犯人の天才作曲家和賀英良を中島健人(25)が演じる。

「砂の-」は過去に何度も映像化され、今西役は丹波哲郎、仲代達矢ら名優が演じている。東山は「松本清張先生の傑作中の傑作を演じることになりました。清張先生が持っている怒りを描いている。人間がいかに悲しく愚かで、だけど素晴らしいことを演じています。松本清張という日本が生んで素晴らしい作家の思いをつなげます」と話した。

中島は「『砂の器』の住人の1人として、すてきな時間を過ごせることを幸せに思います。かなり危険な作品に飛び込んでしまったが、役者として大きな財産になった」と振り返った。

この日は、ドラマのクライマックスである演奏会のシーンの撮影。中島がピアノで、テーマとなる楽曲「宿命」を披露すると、東山は「コンサートで弾いているのを見たことがあるけど、まさかここまでやるとは」。中島は「東山さんという神がついていたので、うまくいきました」とホッとした笑顔を見せた。

撮影に入る前には東山から中島に「勝負しよう」と申し入れた。東山は「和賀(中島)は若さ故に犯罪を犯してしまう。それに対抗するには等身大でぶつかっていこうと思った。人生経験のある男と、これから伸びていく男のぶつかり合いです」。中島は「本当に危険な作品。僕、東山さんのファンなんですけど、そこは切り替えて、犯人と刑事として演じました。自分の中にある最高の情熱を注ぎました。もうちょっと共演シーンを増やしてほしかったんですけどね」と話した。

今月13日に25歳の誕生日に迎えた中島に、東山からダリの絵画のプレゼントがあった。「帰りの車のバックシートにすてきな絵画が置いてあった。電話したら『健人、ハッピーバースデイ』と言われました。リビングのセンターに飾らせていただいています」。東山は「ダリが好きで、健人くらいの年齢の時にスペインに行った時に買ったリトグラフです。そんなに高くないですよ、3億円くらいかな」と笑った。

普段は「セクシーサンキュー!」を決めザリフとする中島だが、天才作曲家にして殺人犯という役柄で、今回の現場では封印した。逆に東山が「いいネタをもらいました」と多用している。中島は「今は東山さんが愛用しているんで、お貸ししています」と苦笑いした。

東山とコンビを組む若手刑事役の野村周平(25)は「この作品にたずさわれて、幸せ者だと思う。東山さんが現場を盛り上げてくれて、学ぶことも多かった」。中島に殺される役の高嶋政伸(52)は「初日から殺害されるシーンの撮影だったんですけど、手応えを感じた。本番でテストの30倍の力を中島さんが出して、カットの声までに2回くらい失神してしまいました」と話した。