俳優水谷豊(66)の監督2作目となる映画「轢き逃げ-最高の最悪な日-」(5月10日公開)の凱旋(がいせん)舞台あいさつが22日、ロケ地の兵庫県神戸市内で行われ、水谷や主要キャストらが登壇した。

女性ひき逃げ事件をテーマに、加害者や被害者家族、事件担当刑事らの思いを描く群像劇。17年公開の映画「TAP-THE LAST SHOW-」で監督デビューを果たした水谷が、今回は初の脚本も担当した完全オリジナルストーリー。

水谷は、ダブル主演の中山麻聖(30)石田法嗣(29)、出演の小林涼子(29)壇ふみ(64)、会田正裕撮影監督(53)、主題歌を歌う手嶌葵(31)と登壇。「神戸の皆さん、(映画)公開に先立ちまして、ここ撮影の地、神戸で見ていただけることは、たいへんうれしく思っております」とあいさつした。

18年4月から3週間、神戸市で撮影が行われた。ロケ地を選んだキッカケについて水谷は「ストーリーが自分の中でできてきた時に、ある地方都市で起こる出来事のイメージをしていた」といい、会田撮影監督に相談したところ「神戸は?」という提案を受けたという。

水谷は「神戸は(会田撮影監督と)一緒に撮影に来たこともあって、何度かお邪魔してますので、なるほどと。そこから神戸をイメージして、脚本を完成させた」と話した。

会田撮影監督は、ロケハンで行った商店街のレコード屋で「水谷豊のLPが一番手前にあった。それが決め手になった」と明かし「監督が話してくれた世界観に(神戸が)ピッタリ」。水谷も10代の頃から神戸を訪れており「六甲山で羊を抱いたこともある」と、懐かしい思い出も語った。

MCから水谷の監督業について聞かれた壇から「天才!」と絶賛された場面では「月並みですけど、穴があったら入りたいです」と照れ笑い。

映画のイメージや方向性を決めていく監督業については「方向性が間違っていたらそれはとんでもないことになってしまう。そこに監督の責任がある」。自らを「遅咲きの監督」と表現し「60代で3本撮りたい。そうするとそこから先、70(歳)を過ぎてまた新しい展開が自分には待っていると思う」と、今後のイメージも明かした。神戸のファンへは「僕にとって記念すべき街になりました」と感謝を述べた。

400人を越えるオーディションから選ばれた中山は、台本を見るまで水谷作品だと知らなかったといい「台本を見たら『水谷豊監督』って書いてあったので、とんでもないものに受かったという驚きと喜びが混じっていた」。小林は撮影期間に「監督から軍資金を頂いて、若手衆みんなで神戸牛をごちそうになりまして。一番、神戸を感じられた瞬間でもありました」と、水谷監督の粋なエピソードを明かした。