田中圭(34)が「第22回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の主演男優賞に輝いた。

18年4月期のテレビ朝日系「おっさんずラブ」で男同士の三角関係に悩むサラリーマンをコミカルに演じた。繊細なテーマと真剣に向き合い、「日本一」と思えるスタッフたちと、ヒットドラマを作り上げた。

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トロフィーを受け取ると「スゲー!」と素直に喜んだ。ドラマの放送終了から1年たっての受賞となったが「1年も前の作品だったにも関わらず、見てくださった方の記憶と心に今なお強く熱を持って生きていられる作品に関われたことは、すごく光栄です」。砕けた口調から一転、真剣な表情で語った。

女性にモテたいが、なぜか社内の男性2人から同時に好意を寄せられるサラリーマン、春田創一を演じた。それぞれが思いをぶつけ合う熱い展開に、泣けて笑えるコメディーとして人気を集めた。「春田は、みんなに暴れてもらってそれを全て受けきることに終始しようと思って挑んだ役。コメディーなので演じようと思ったらダメ。ただただ、『おっさんずラブ』の世界をみんなで生きられたっていうだけだと思います」。

男性同士の恋愛を、オープンに、真剣に描いた。「男女関係なく、人と人が向き合う作品にしようというのは初回から口を酸っぱくして言っていたし、人と人で、たまたまそれが男と男だったという意識で作り手はやっていたので」。林とのキスシーンも「あれだけ真剣に緊張してキスするってのは、なかなかないですね」と振り返った。

撮影ではアドリブも多かったが「それに対応してくれるのも、おっさんずラブのスタッフ」と、チームへの信頼は厚い。序列がなく、みんながフラットに意見が言える現場だった。「全員で作った作品だったと今でも思うし、どこの現場にもない特別な信頼関係がある。チームワークだけで言えば、僕の知っている中では日本一だと思っています」。ドラマのヒットはもとより、スタッフとの出会いが財産となった。

今年8月には劇場版が公開される。4月いっぱい撮影し「手応えで言えば、ドラマ以上のものはあります。平成最後の作品を、令和早々にぶちかましたい」と意気込む。「ずるいっすけど、すごく盛り上がれば、少なくともその期間は令和史上一番騒がれた作品になるわけです」と笑った。

今年芸歴20年目を迎える。デビュー以来休むことなく走り続け「自分がやりたいことを、1回見つめ直す時間がいる」と本音も明かす。今後の展望については「とりあえず20年走ってみてかな。まだ走り足りないなって思えば、もう1回21年目走れば良いだけ」。明快に答えた。【遠藤尚子】

◆「おっさんずラブ」 結婚願望はあるがまったくモテないポンコツサラリーマン、春田創一(田中)、豪腕と乙女心をあわせ持つ上司、黒澤武蔵(吉田鋼太郎)、エリートな後輩、牧凌太(林遣都)の三角関係をピュアに描いたラブコメディー。春田と牧が結ばれたドラマのその後を描く映画「劇場版 おっさんずラブ~LOVE or DEAD~」(瑠東東一郎監督)が8月23日公開予定。

◆ドラマグランプリ 3月28日から4月4日まで日刊スポーツのホームページ「ニッカンスポーツ・コム」やスマートフォンサイト「ニッカンエンタメ・プレミアム」、携帯サイト「ニッカン芸能!」、宅配読者会員サイト「ニッカンポイントクラブ」などで昨年4月から今年3月までに放送された連続ドラマを対象に「主演女優賞」「主演男優賞」「助演女優賞」「助演男優賞」「作品賞」を選ぶアンケートを実施。各期(4、7、10、1月)ごとのベスト5、各部門計20人(作品)を候補とした。投票総数は2162票。男性が716票、女性が1446票。10代以下が66票、20代331票、30代285票、40代601票、50代610票、60代以上が269票だった。

◆田中圭(たなか・けい)1984年(昭59)7月10日、東京都生まれ。深田恭子主演映画「死者の学園祭」の相手役オーディション最終選考で落選もスカウトされ、02年映画「自殺サークル」でデビュー。03年ドラマ「ウォーターボーイズ」で注目を集め、多くのドラマ、映画、舞台に出演。放送中の日本テレビ系ドラマ「あなたの番です」(日曜午後10時半)に原田知世とダブル主演。178センチ、血液型O。