乃木坂46が9月1日、東京・神宮球場で「真夏の全国ツアー2019」千秋楽公演を開催し、初代キャプテンの桜井玲香(25)がグループから卒業した。

アンコールが開け、モニターに桜井の8年間の活動を振り返る動画が流れた。キャプテンとしてのスピーチを象徴するようなシーンがあった。15年8月31日、神宮球場で行われた「真夏の全国ツアー2015」千秋楽公演、ダブルアンコールの一幕だ。

「絶対に皆さんを後悔させないようなグループになります! どこのグループにも負けないようなグループになります! だから、ずっとずっと、乃木坂のことを愛し続けてください!!」

球場を埋め尽くしたファン3万2000人から、地鳴りのような大歓声を浴びた。「清楚(せいそ)で上品、謙虚で控えめ」が特長の乃木坂46にとって、異例とも言える「NO・1宣言」だった。当時、ライブから1週間後に桜井を取材する機会があった。発言に至った経緯や、理由を聞いた。

   ◇   ◇   ◇

-なぜあの時、あのスピーチをしたのか

桜井 何か考えていたわけではなくて、ただポンって出てきたのがあの言葉だったんです。乃木坂46全体のコンサートで、ダブルアンコールが起こったのは初めてでした。ダブルアンコールをしてくれるっていうことは、皆さんがそれだけ期待してくれているということ。小さな会場ならまだしも、神宮の広さで、あれだけのアンコールになるとは思っていませんでした。

-乃木坂46は謙虚で控えめメンバーが多いイメージです

桜井 確かに、普段からみんなが「勝ちたい」って言うようなグループじゃないかもしれませんけど、別にそう思ってないわけじゃないんです。どちらかというと、自分たちらしく、マイペースな子が多いですけど、上に行くことを意識していないわけじゃないんですよ。

ただ、口にはあまりしないだけで。みんな負けず嫌いですし、負けたくないですし。正直、言えば言うほど言葉が軽くなっちゃうから、あえて言う必要もないのかなって思ってました。

-あの時は特別だったんですね

桜井 あの時は皆さんの自分たちに対する思いがすごくダイレクトに来て、今だったら…今が言う時なのかなって思いました。勇気を出して言ってみました。ちょっと…いや、すごく怖かったけど。「言っちゃったな~」とは思いました。ちょっと焦ったけど、言っちゃったからには、頑張らなきゃって思います。私たちは、まだまだですから。

 

あれから4年。言葉の通り、乃木坂46は国民的アイドルグループとなった。当時会場にいたファン3万2000人は、桜井の熱い呼びかけの通りに乃木坂46を愛し続けているに違いない。

このほど、卒業にあたって再び桜井を取材する機会があった。

 

-さすがにもう、『どこのグループにも負けないグループ』になった、と言えるのでは?

桜井 いやいやいや。それは、分からないですよ。それは、まあ、まあ…って感じです。

 

あくまで控えめに、笑顔でかわした。紛れもなく乃木坂46の初代キャプテンだった。【横山慧】