米ユタ州南東部の砂漠の真ん中で発見されて話題になっていた謎の石柱状の物体が、こつぜんと姿を消した。

SF映画「2001年宇宙の旅」(1968年)に登場するモノリスのようだとSNSで話題になっていた金属製の柱は先月23日、ユタ州の野生生物保護当局が野生の羊を上空から数える作業を行っていた際に偶然発見したことを公表していた。普段人が立ち入ることができない赤い岩に囲まれた場所に高さ3・6メートルほどの銀色に輝く物体が突如見つかったことから、エイリアンの仕業ではないかとネットを騒がせていたが、27日夜に何者かが撤去したことが確認されたと同州の土地管理局が発表した。モノリスがあった場所には三角形の跡と三角形の金属パネルのようなものが残されているのが確認されている。「私有財産」と見なされることから同局が撤去したものではないと説明しており、何者かが夜のうちにこっそりと持ち出したと思われるが、誰が何の目的で設置したのかも分かっていないことから謎は深まるばかりだ。

同局はモノリスを探そうと砂漠に足を踏み入れた人が遭難する危険性があることから場所を非公開とし、場所を特定しないよう呼び掛けていたが、グーグル・アースで位置を特定した人たちが次々と車で不法侵入して現場にたどり着いていた。中にはモノリスに磁石を近づけても反応しないことから金属ではないと実験したり、表面をたたいて「段ボール箱のような音がする」などとSNSで実況中継する人もおり、多くの人が謎の物体の正体に興味津々だった。現場にはトイレットペーパーなど訪問者が残したごみも散乱していたというが、設置者が持ち去ったのか、不法侵入した人が撤去したのかは明らかになっていない。

当局は芸術家によるアート的な建造物だろうとの考えを示す一方で、人里離れた砂漠に人間が設置するのは難しいことからエイリアンの仕業説について否定はしていなかった。(ロサンゼルス=千歳香奈子)