両親に対する自殺ほう助の罪に問われた歌舞伎俳優市川猿之助(本名喜熨斗(きのし)孝彦)被告(47)に対し17日、東京地裁は、懲役3年執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。
猿之助被告は松竹を通じ「言い表せない罪を感じています」などとしたコメントを発表。初公判では歌舞伎復帰への思いも示したが、執行猶予期間としては最長の判決、社会的影響などから今後、長く険しい道のりになることが予想される。
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猿之助被告は紺色スーツに青色のネクタイで、マスクを着けて入廷した。開廷が告げられるまでの短い時間は目を伏せ、判決言い渡し、量刑理由の説明を聞く間はうつむき気味で証言台の前に立った。大きな表情の変化はなく、退廷の際は、裁判官と検察官に一礼ずつし、法廷全体にも一礼し5分弱で閉廷。約8分後には関係者の車で東京地裁を後にした。
裁判官は「自殺ほう助に至る経緯は短絡的というほかない。思考が狭くなっていたことを踏まえても、くむべき事情が多いとは言えない。刑事責任を軽視することはできない」とする一方、執行猶予を求める親族からの上申書や、猿之助被告に前科前歴がないこと、後悔や反省の態度を示していることなどを鑑みたとした。
判決言い渡しから約1時間半後、猿之助被告は松竹の公式サイトを通じメッセージを発表。「四代 市川猿之助」の直筆サインが入ったメッセージでは「父と母を巻き込んでしまったこと、歌舞伎界を含め多くの皆様に治癒し難い傷を負わせてしまったことに対し、言い表せない罪を感じています」と記し、「生かされた自分に何ができるか考えていきます」などと心境をつづった。
松竹も判決を受け見解を発表し、有罪判決を「極めて重く受け止める」とした。猿之助被告は初公判で、復帰への意志を示したが、松竹は「市川猿之助としての今後につきましては現時点ではまったく白紙。歌舞伎界への貢献に照らせば、ぜひ支えてまいりたいと存じますが、判決をどのように受け止めるか、本人と時間をかけて話し合う」と慎重な姿勢を見せた。
所属するケイファクトリーは、猿之助被告の申し出により17日付で契約終了したことを発表した。公式サイトで「社会に及ぼした影響や、社会的責任等を鑑みるにマネージメントは難しいと判断し、双方合意」したことを報告した。
起訴状によると猿之助被告は、5月17~18日、父で歌舞伎俳優市川段四郎さん(当時76)と母延子さん(同75)の自殺を手助けし、向精神薬を服用させ、死亡させた。
<事件経緯>
▼5月17日 市川猿之助被告がハラスメント疑惑を報じる週刊誌の前刷りを確認。家族で話し合う
▼同18日 午前10時すぎに自宅で倒れている猿之助被告、両親が発見される。両親はその後死亡
▼同19日 両親の司法解剖。向精神薬中毒で亡くなった疑いがあると判明
▼同下旬 両親の家族葬
▼6月27日 母親の自殺を手助けしたとして自殺ほう助容疑で逮捕
▼7月18日 父親の自殺を手助けした疑いで再逮捕
▼同28日 東京地検に起訴
▼同31日 勾留先の原宿署から保釈。保釈保証金500万円
▼8月2日 演出、出演で24年2~3月上演予定のスーパー歌舞伎セカンド「鬼滅の刃」の中止発表
▼10月20日 初公判
▼11月17日 懲役3年執行猶予5年の判決言い渡し



