LDH JAPAN会長兼社長、EXILE HIRO(54)が23日、大阪・東大阪市で行われた近大の卒業式にサプライズで登場し、卒業生に熱いメッセージを送った。
学校の壇上に立ち、スピーチするのは初めてというHIROは「僕は話のプロでもないし、しゃべるのも得意ではないので手紙にしてきました」と前置きし、感情を込めながら朗読した。(以下、手紙全文)
「全員主役」。この言葉はLDHがエンターテインメントを創造するときの大切なテーマであり、基本的な考え方です。
ここにいる皆さん、全員、誰もが、自分自身の人生の物語の主役です。
絶対に同じストーリーが存在しない、オリジナルのストーリーが1人1人にあるのです。
皆さんの大好きな映画やドラマでは、現実にはあり得ない、劇的で壮大なスケールのストーリーもありますが、日常的に起こりそうな、誰にでも当てはまりそうなストーリーを題材にしていることも多いと思います。
自分自身の思い出を振り返ってみてください。子どもの頃に見上げた、どこまでも青い空、家族からもらったたくさんの愛情。大好きだった人との出会い、そして別れ。友だちとの楽しい時間や、つらかったこと、悔しかったこと。他人には分からないことだとしても、そこに魅力的な演出が加わったら、あなた自身が起こっている、日常のなにげないストーリーも、あなたの感情とともに、すごくドラマチックになるでしょう。
エンターテインメントの世界では、それぞれの登場人物のストーリーを自由に切り取り、自由に演出することで多くのメッセージを生み出し、伝えることができます。
皆さんの1人1人の人生の物語に映画のような演出を加えたら、もしかしたら、アカデミー賞やカンヌ映画祭でも脚光を浴びるストーリーにもなり得ると思います。
それぐらいそれぞれの人生も、実はドラマチックで、誰かを感動させたり、幸せにする物語になる可能性があります。
この世界にあなたと同じ人間はいません。だから、皆さんの人生はただ1つの「自分物語」です。
人生の物語はいつだって自分自身が主役。
そのことを胸に刻んで、楽しいこと、苦しいこと、つらいことや悲しいことがあったとしても、自分自身の生き方に自信と誇りを持って、思い切りこれからの人生を演出して楽しんでほしいと思います。
ここで1つ、きょう卒業生のみなさんと同世代だった22歳のLDHの子の話をさせてください。
彼の名前は中尾翔太。
小さいころからダンスに夢中になり、アーティストになる夢を持ち、練習に明け暮れ、やっとの思いでLDHに入り、FANTASTICSというグループでデビューする夢をつかんだ。
22歳のときです。メンバーと一緒に元気に頑張っている日々でしたが、念願だったデビューが決まった矢先に体調が悪くなり、調べたらステージ4の胃がんでした。
それからの闘病生活は本当につらく、苦しく、僕らには想像もできないものでした。
その状況でも彼の闘いを支えていたのは「夢の力」。もう1度、仲間と踊りたい-。この先の夢をかなえたい。そんな強い気持ちがあったからこそ、本当につらい状況にもかかわらず、勇ましく病気と闘うことができたのだと思います。
当時、僕は48歳でしたが、22歳の翔太からかけがえのないことを学びました。最後まで夢に向かって頑張る姿に、人生のテーマを教えてもらったような気がしました。
22歳の青年の生涯は思いもしない結末になってしまいましたが、彼の人生の物語には決してムダなことは1つもありません。
22年間という短い時間でしたが、たくさんの夢と情熱がギラギラ燃えていて、ともに夢を見たFANTASTICSのメンバーにつながり、いまもなお、未来に広がっています。
僕らは彼の人生の物語、生きてきた証をたくさんの活動で知ってもらおうと思っています。
人生の物語は決してハッピーエンドばかりではないけど、その「想い」や「愛」、そして夢は他の人の物語でも生き続けます。
きょう、ここから新しい道を行く皆さん、あなた自信は人生の主役となって、物語をつくるために、夢を持つことは、いい道しるべになると思います。
あなたはいま、夢を持っていますか?
夢はきらびやかなものだけではない。壮大なもの、果てしないものばかりではない。さりげない日常の中にも、必ず夢はあります。
同じ人間がいないように、夢もまた自由です。十人十色でいいのです。
もしいま夢がなくても、明日、あなたが歩き出す世界で見つかるかもしれない。夢にやぶれたことがあったとしても、そこからが学んで、次に本当の夢を見つけるスタートになるかもしれない。
だから、どこかのだれかに夢を持つことをバカにされようと、見つけることをあきらめないでほしい。
夢は人生の物語の大きなテーマになります。実現に近づくために「イメージして」「工夫して」「行動していく」。それが人生の「演出」だと思います。
その挑戦が自分を成長させ、新しい仲間ができ、あなたの世界はきっと1歩1歩、大きくなる。
夢はファンタジーではなく、未来を切り拓く、リアルな力になる。これは自分の身をもって知ったことで、僕らは夢の力を信じています。
皆さんもできれば、夢をみつけて、人生という物語が続き限り、自分が主役という信念で、精いっぱい、生きてください。
くじけそうなときも、主役の自分を奮い立たせてください。
そして、あなたの自分物語を最高のものに…。
可能性があふれる未来を、応援しています。
EXILE HIRO