テノール歌手の秋川雅史(58)が6年連続の「二科展」彫刻部門に入選したことが1日、分かった。

歌手と第一線で活動する一方、彫刻家としても精力的に作品を制作。現在は、1日約2時間を歌の練習、約6時間を彫刻制作に費やしているという。

彫刻の原点は、幼少期から毎年参加してきた故郷、愛媛・西条市の「西条祭り」。祭りで街を練り歩くだんじりを彩る彫刻を身近に見て育った経験が、現在の創作活動へとつながっている。

今回の入選作は、カブトムシとクワガタを題材にした。「二科展彫刻部門で6年連続の入選を果たすことができ、光栄に思っています」とコメントを発表。「今回は、これまでの外国産の昆虫ではなく、日本を代表するカブトムシとオオクワガタを題材にしました」とし、「10年以上にわたって昆虫を飼育してきましたが、実はこの2種類をまだ木彫作品にしていなかったので、『これは彫らなければいけない』と思ったのがきっかけです」と明かした。

「特にカブトムシについては、制作が冬だったため実物を手に入れることができず、昨年から昆虫サポーターを務めている福島県田村市に相談しました」とし、「市長から専門家につないでいただき、全長80ミリを超える貴重なカブトムシを送っていただきました」という。「その個体を自宅で飼育し、毎日観察しながら制作したので、今回の作品はまさに田村市のカブトムシから生まれた作品です」とした。

「作品では、カブトムシとオオクワガタがまだ触れ合う前の、一触即発の瞬間を表現しました」とし、「これまでの『対決シリーズ』は実際にぶつかり合う姿を彫ってきましたが、今回はあえて距離を保たせています」とこれまでとの違いを説明。

「互いに相手を見据え、『次の一瞬に何が起こるのか』という緊張感を楽しんでいただきたいと思っています」と呼びかけた。

「木彫というと静かな芸術に見えるかもしれませんが、私が表現したかったのは、強さと美しさがぶつかる瞬間です」と訴えると、「子どもの頃に誰もが⼀度は想像した『カブトムシとクワガタが戦ったら、どちらが勝つのか』という少年時代のロマンを、一本の木から形にしました」とすると、「歌と同じように、彫刻も自分の中にあるものを形にしていく表現だと思っています」と述べ、「これからも、自分が心から面白いと思えるものを、木彫りという形で追求していきたいと思います」と決意を示した。

29日には東京芸術劇場コンサートホールで、「秋川雅史~『千の風になって』」20周年記念コンサート~を開催する。