将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太棋聖(18)が最年長タイトルホルダー、木村一基王位(47)に挑む第61期王位戦7番勝負の第3局が4、5の両日、有馬温泉(神戸市北区)の老舗旅館「中の坊瑞苑(ずいえん)」で行われ、先手の藤井が149手で木村を破り、3連勝で史上最年少2冠にあと1勝とした。第4局は19、20の両日、福岡市の「大濠公園能楽堂」で行われる。


藤井棋聖-木村王位、1日目の対局詳細

藤井聡太七段の公式戦成績/188勝35敗


2日目

【午前8:45】 藤井棋聖は前日と同じ和装姿で午前8時45分に入室。その後、木村王位が対局室に入った。両対局者は記録係が読み上げる前日の手順を盤上に再現した。立会人の淡路仁茂九段(70)が木村の封じ手を開け「封じ手は後手2三歩です」と読み上げた。午前9時、2日目が始まった。

立会人の淡路仁茂九段(右)から木村一基王位の封じ手を見せられる藤井聡太棋聖(左)(日本将棋連盟)
立会人の淡路仁茂九段(右)から木村一基王位の封じ手を見せられる藤井聡太棋聖(左)(日本将棋連盟)

【午前10:00】 午前のおやつタイム。両者は午前のおやつは注文せず、飲み物だけオーダーした。藤井棋聖はガムシロップとミルク付きの「アイスコーヒー」。木村王位は「アイスコーヒー(ブラック)」を注文した。

藤井聡太棋聖が午前のおやつタイムに注文したガムシロップ、ミルク付きの「アイスコーヒー」(日本将棋連盟)
藤井聡太棋聖が午前のおやつタイムに注文したガムシロップ、ミルク付きの「アイスコーヒー」(日本将棋連盟)
木村一基王位が午前のおやつタイムに注文したアイスコーヒー(ブラック)(日本将棋連盟)
木村一基王位が午前のおやつタイムに注文したアイスコーヒー(ブラック)(日本将棋連盟)


【午前】2日目の午前中はしばらくお互い自陣に手を入れる展開が続いた。午前11時46分、藤井が57手目で先手4五歩と仕掛けた。午後0時30分からの1時間の昼食休憩。今後は1~4筋を中心に当分、藤井の攻めを木村が受ける局面となりそうだ。


【午後0時30分】 昼食休憩。藤井の勝負メシは「肉うどん膳」。麺好きの藤井が伝説のメニューを注文した。1982年(昭57)からほぼ毎年、王位戦のタイトル戦が行われてきた「中の坊瑞苑(ずいえん)」の人気メニューが「肉うどん」。神戸牛の肩ロースや兵庫県産の小麦「ふくほのか」を使用している。藤井が憧れの存在と公言し、同じく14歳の中学2年でデビューした谷川浩司九段(57)の好物としても知られ、注文する宿泊客も多い。木村は「玉子とじそば膳(全体的の量少なめ)」を注文した。エビの天ぷらなどの盛り合わせ、ご飯、漬物がついている豪華メニュー。昼食はいずれも「中の坊瑞苑」の提供。

藤井聡太棋聖が昼食の注文した「肉うどん膳」(日本将棋連盟)
藤井聡太棋聖が昼食の注文した「肉うどん膳」(日本将棋連盟)
木村一基王位が昼食に注文した「玉子とじそば膳」(日本将棋連盟)
木村一基王位が昼食に注文した「玉子とじそば膳」(日本将棋連盟)

【午後2時33分】 藤井が先手3五歩と攻め合いに持ち込んだ。以下、藤井が攻めをつなげている。


【午後3:00】 おやつタイム。藤井は午前と同じくおやつは注文せず、飲み物だけオーダーした。対局室にはパインジュースが運ばれた。木村は「フルーツの盛り合わせ」とオレンジジュースを注文した。

藤井聡太棋聖が午後のおやつタイムに注文した「パインジュース」(日本将棋連盟)
藤井聡太棋聖が午後のおやつタイムに注文した「パインジュース」(日本将棋連盟)
木村一基王位が午後のおやつタイムに注文した「フルーツ盛り合わせ」とオレンジジュース(日本将棋連盟提供)
木村一基王位が午後のおやつタイムに注文した「フルーツ盛り合わせ」とオレンジジュース(日本将棋連盟提供)

【2日目終了】 先手の藤井が149手で木村を破り、3連勝で史上最年少2冠にあと1勝とした。藤井がリードして突入した終盤戦、木村の受けを振り切った。

第61期王位戦7番勝負第3局を制し、タイトル獲得まであと1勝とした藤井聡太棋聖(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負第3局を制し、タイトル獲得まであと1勝とした藤井聡太棋聖(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負第3局で3連敗を喫し、かど番に追い込まれた木村一基王位(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負第3局で3連敗を喫し、かど番に追い込まれた木村一基王位(日本将棋連盟提供)
第3局を終えて感想戦を行う藤井聡太棋聖(左)と木村一基王位(日本将棋連盟提供)
第3局を終えて感想戦を行う藤井聡太棋聖(左)と木村一基王位(日本将棋連盟提供)

   ◇   ◇   ◇

藤井棋聖は7月16日、最年少の17歳11カ月で棋聖のタイトルを奪取した。初タイトルからわずか3週間で2冠に王手をかけた。史上最年少2冠は羽生善治九段(49)が持つ21歳11カ月。今シリーズを制すれば、この記録を大幅に更新する。 2冠を獲得すれば日本将棋連盟の八段昇段規定「タイトル獲得2期」を満たし、八段に昇段する。王位戦の最終第7局までもつれ込んだ場合でも、「ひふみん」こと、加藤一二三・九段(80)が持つ18歳3カ月を上回る、最年少八段も達成する。


1日目

藤井棋聖は土居矢倉!ほぼ互角で第3局1日目終了

藤井棋聖昼食は神戸牛すき鍋膳、木村王位はうな重膳

第61期王位戦7番勝負第3局の封じ手の封筒に署名をする藤井聡太棋聖(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負第3局の封じ手の封筒に署名をする藤井聡太棋聖(日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負第3局で、木村一基王位(右)が立会人の淡路仁茂九段に封じ手の封筒を手渡す。中央後方は藤井聡太棋聖(中、日本将棋連盟提供)
第61期王位戦7番勝負第3局で、木村一基王位(右)が立会人の淡路仁茂九段に封じ手の封筒を手渡す。中央後方は藤井聡太棋聖(中、日本将棋連盟提供)

前日会見

藤井棋聖、初の温泉地での対局に「リラックスして」

木村王位、有馬温泉「銀泉」で疲れ癒しリベンジ狙う

前日会見に臨んだ藤井聡太棋聖(撮影・松浦隆司)
前日会見に臨んだ藤井聡太棋聖(撮影・松浦隆司)
前日検分に臨んだ藤井聡太棋聖(左)と木村一基王位(日本将棋連盟提供)
前日検分に臨んだ藤井聡太棋聖(左)と木村一基王位(日本将棋連盟提供)


◆藤井聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日、愛知県瀬戸市生まれ。5歳で祖母から将棋を教わり、地元の教室に通い始める。杉本昌隆八段門下。16年10月、14歳2カ月の史上最年少でプロ(四段)に。史上5人目の中学生棋士でもある。名古屋大学教育学部付属高3年。17年6月、デビューから負けなしの29連勝で、将棋界の連勝新記録を達成。18年2月、朝日杯で史上最年少の公式戦初制覇。同年10月には新人王戦も制した。翌年2月、朝日杯連覇。昨年度、史上初の3年連続勝率8割以上を記録。今年7月には史上最年少で初タイトルを獲得した。通算成績は188勝35敗