愛知県名古屋市の河村たかし市長(72)が、東京五輪ソフトボール日本代表の後藤希友(20=トヨタ自動車)の表敬訪問を4日に受けた際、マスクを外して金メダルをかんだ問題で、後藤が所属するトヨタ自動車(愛知県豊田市)は5日までに「アスリートへの敬意や称賛が感じられない。不適切かつあるまじき行為」などと異例の抗議コメントを出した。

東京五輪・パラリンピックの最高位スポンサーを務めるトヨタ自動車は、金メダルについて「アスリートの長年に亘る、弛まぬ努力の結晶」とした上でコロナ禍での祭典であることを前提に、コメントで「メダル授与すら、本人が首にかけるという状況下。アスリートへの敬意や称賛、感染予防への配慮が感じられず、大変残念に思います」と、河村氏の対応を厳しく批判。「河村市長には、責任あるリーダーとしての行動を切に願います」とした。

名古屋市によると、河村氏と副市長、スポーツ市民局長、市長室長は5日午後、豊田市のトヨタ自動車本社を訪問。市はトヨタ側に配慮し、河村氏自らが訪問することは避け、副市長が代理で河村氏の謝罪文書を受付のスタッフに渡した。河村氏が関係者などに直接謝罪をするつもりだったのかは不明。その後の会見で河村氏は「車の中からお詫びをしました」とし、「金メダルをけがす行為に及び、ご不快な思いとご迷惑をお掛けしました」と陳謝した。

名古屋市には河村氏に対して批判的な電話やメールが相次いだ。市によると「後藤選手に対して失礼だ」「コロナ禍でかじるなんてありえない」などとの苦情が約4000件寄せられているという。

騒動を巡っては4日に、河村氏が後藤から金メダル獲得の報告を受けた際、後藤の許可を取らずに、マスクを外してメダルをかむパフォーマンスをしていた。【沢田直人】