今年のブリーダーズカップの舞台となるキーンランド競馬場は、キーンランドセールで有名なセリ会場と一体になった生産地直結の競馬場です。

筆者の第一印象はコンパクトサイズでほのぼのとした競馬場でしたが、直線は約360メートルとそこそこ長く(その代わりにコーナーのカーブはきつい)、米国の競馬場のサイズとしては大きくもなく小さくもないごく普通サイズの競馬場と言えそうです。

過去3回のブリーダーズカップ開催時に訪れたことはありませんが、馬券売り場、観覧エリアともコンパクトで、4万人から5万人が訪れることが予想される土曜(日本の日曜)は、馬券を買うのもひと苦労しそうです。

ブリーダーズカップやキーンランド競馬場について、思い浮かぶことを記してみたいと思います。

まず競馬場についてですが、キーンランドには2つのゴールがあることが知られています。ひとつは外周のダートコースの1600メートル戦と1700メートル戦にだけ使用される専用の(?)ゴール、そして、その約100メートル先にあって、芝のレースも含めた他のすべてのレースで使われる(正式な)ゴールポストです。

2日間で14個レースが開催されるブリーダーズカップですが、臨時ゴールが使われるのは2歳馬によるジュヴェナイルフィリーズ(ダート1700メートル)とジュヴェナイル(ダート1700メートル)、それにロードフォンスが参戦するダートマイル(ダート1600メートル)の3つ。ダートマイルのフルゲートが他より2頭少ない12頭なのは、スタートしてすぐに左カーブを迎えることが考慮されてのものです。

コースのことでいえば、芝で行われるブリーダーズカップマイルが、差し、追い込み馬で決まることが多いのも、スタートから最初のコーナーまでが近くハイペースになりやすいからでしょう。

騎手の話もしましょう。競馬はあくまでも個々の馬の能力次第で優劣が決まるものですが、コースを熟知する騎手の腕が、微妙な勝負に影響することも事実です。

キーランド競馬場のマスターとしてタイラー・ガファリオン騎手を挙げておきます。

ここ10年(2016年から25年)の春秋の開催リーディングで、チャンピオンに輝くこと7回(春に2度、秋に5度)。10月のG1アルシビアデスステークスもエンファティクで制していて、コーナーのきついキーンランドコースを実に巧みにこなしています。馬券発売される5つのレースの中はダートマイル(アイアンマンカル)とスプリント(ナカトミ)に騎乗しています。注目して欲しい騎手です。

ついでに騎手のお金のことにも触れます。日本では獲得賞金における騎手の取り分は一律5%と決まっていますが、米国はシステムが違います。どうなっているのか、というと優勝した場合は10%、2着、3着になれば5%ですが、4着以下だった場合は日本円で約5万円の騎乗料しかもらえません。

日本から遠征する馬の場合は、基本的には日本流の配分となるようですが、外国のジョッキーに騎乗依頼した場合は米国のやり方に準ずることが多いるようです。今回、外国人騎手に手綱を委ねているのはディープモンスター(ターフにマーカンド騎手で参戦)、アメリカンステージ(スプリントにマーフィー騎手)、ルガル(マイルにマーフィー騎手)、テーオーパスワード(クラシックに木村和士騎手)の4頭です。

※競走成績等は2026年10月30日現在

(ターフライター奥野庸介)