JRAは藤田菜七子騎手(27=根本)から騎手免許の取り消し申請があり、11日付で騎手免許を取り消したことを発表した。
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人気女性騎手の電撃引退というショッキングな事象に映るが、今案件の本質は競馬開催に最も重要な「公正性の確保」が危機的な状況にあることが明らかになったことだ。JRAと騎手で主張に一部食い違いがあるものの、真偽はともかく落ち度は双方にある。「公平性の確保」という大義からみれば、JRAの落ち度は深刻と言わざるを得ない。
昨年5月に若手騎手6人が不適切なスマートフォン使用で30日間の騎乗停止処分となった。藤田菜七子騎手は週刊誌報道で、昨年の案件以前に外部との通信が認められたもの。昨年5月の聞き取り調査において騎手側は「通信機器の使用を報告し、口頭で厳重注意を受けた」とし、JRAは「聞き取り時の申告がうそだったと認識」と説明した。食い違いがあることからも、聞き取り調査の精度と信ぴょう性、対応や処分の妥当性に疑問符がつく。
当時は聞き取り調査のほか、禁則事項の強化、騎手教育の徹底などを打ち出し再発防止策を講じているが、ここまで有効に機能しているとは到底言えない。今年になって新たに複数の若手騎手が不適切なスマートフォンの使用で騎乗停止処分を課された。詳細は「スマホケースだけを預けて本体を持ち込んだ」ものと「1台を預けて2台目を持ち込んだ」というもの。スマートフォンの持ち込みさえばれなければ処分も受けず問題なかろうという安易な発想に基づく愚かな行動だ。
なぜスマホを使ってはいけないのか、外部と通信してはいけないのか。それが公正性を脅かすからこそ「重大な非行」として禁じられているということを、あらためて、騎手に限らず競馬に携わる関係者すべてに周知徹底する必要がある。【日刊スポーツ新聞西日本レース部長 町田達彦】

