12度目の挑戦が目前に迫ってきた。10月4日に控える大一番、凱旋門賞(G1、芝2400メートル、パリロンシャン)。キャリア40年目の秋を迎えた武豊騎手(57)が“特別な馬”メイショウタバル(牡5、石橋)とともに、日本馬未到の境地に挑む。チーム「メイショウタバル」で挑む意義とは-。連載「凱旋門賞ストーリーズ」1回目は、決戦を前にしたレジェンドの思いに迫る。【取材・構成=下村琴葉】

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武豊騎手が初めてメイショウタバルの手綱を取ったのは昨年4月のドバイ。その時から凱旋門賞へのチャレンジが頭の片隅にあった。昨年の宝塚記念優勝後には、実際にフランス遠征が選択肢の1つに。「先代の松本好雄オーナーが『今年は国内で天皇賞、有馬記念。来年は凱旋門賞に行けたらいいな』と話していた」。ただ、同オーナーは天皇賞・秋を前にした8月末に急逝。「最後にタバルの話をしたのが、それが最後だった」。遺言として心に刻まれた。

今春初戦の大阪杯はクロワデュノールにわずかに差されて2着。その時点で秋のフランス遠征は、続く宝塚記念の結果次第というのが前提だった。しかし、鶴の一声があった。

「宝塚記念のパドックで(松本)好隆オーナーと話した時に『結果うんぬんじゃなくて、秋は(凱旋門賞へ)行こう』とおっしゃってくれて、“凱旋門賞に行けるんだ”という気持ちで宝塚記念に乗った」

レースは番手に控える競馬で見事に連覇を遂げた。勝利ジョッキーインタビューで「胸を張ってフランスに行けると思います」と堂々と宣言した裏には、レース前にオーナーとかわした約束があった。

8月に行われた自身の通算5000勝パーティーでは、印象に残る馬としてタバルの名を挙げた。「昨年からコンビを組んだけど、人のつながりを感じる馬だし、自分がこの年になって凱旋門賞に連れて行ってくれるわけですから、すごくありがたいと思う。このチームでいけるのも特別ですね」。武豊騎手、“メイショウ”松本オーナー、石橋調教師、三嶋牧場。競馬のロマンが詰まったチームで日本競馬の悲願に挑む。

 

数々の日本馬を泣かせてきたロンシャンの馬場に、適性を感じている。「道悪上手。雨で結果を出している。ヨーロッパの秋は雨が多いし、力のいる馬場になりやすい。そういう意味では、そんなに気にしなくていいのかなと思う」。タバルのリズムで気分良く競馬ができれば、独特な馬場、コースでもしぶとさを発揮できると確信する。

レジェンド自身はこの夏も2度にわたってヨーロッパへ遠征した(シャーガーC、ジャックルマロワ賞)。57歳、40年目でも競馬に対する熱い思いは変わらない。

「モチベーションというと“凱旋門賞”というのはある。大きな目標。12回目。そろそろ勝ちたい」

覚悟を決めて、いざ出陣。壁は乗り越えるためにある。

◆メイショウタバルの道悪成績 不良の芝戦は経験がなく、やや重と重で計5戦。4着に敗れた新馬戦以外の4戦を全勝しており、その中身は24年毎日杯、神戸新聞杯、25、26年宝塚記念とG1・2勝を含め、すべて重賞と、無類の道悪巧者ぶりを発揮している。

◆武豊騎手の凱旋門賞成績

年 馬名 着順

94 ホワイトマズル 6着

01 サガシティー 3着

06 ディープインパクト 失格

08 メイショウサムソン 10着

10 ヴィクトワールピサ 7着

13 キズナ 4着

18 クリンチャー 17着

19 ソフトライト 6着

21 ブルーム 11着

22 ドウデュース 19着

24 アルリファー 11着

※06年ディープインパクトは3位入線