驚きだった。8月27日の丸亀初日、パソコンでレースのライブ映像をのぞいていたら、見知った女性が、たどたどしさはあったが、レースを紹介していた。「夢がかなったんだ…」とこちらの胸まで熱くなった。

ボートレースの女性キャスターの夢を実現した石川ひかるさん(撮影・神田成史)
ボートレースの女性キャスターの夢を実現した石川ひかるさん(撮影・神田成史)

女性の名は石川ひかるさん(20)。3月に選手のカポックやユニホームの洗濯業務に携わっているのを見かけた。積極的に選手に駆け寄っては笑顔を向けていた。合間にはレース映像も熱心に凝視。「ボートレースが好きなんだな」と遠目に見ていた。当地の女性キャスターには「同じ仕事をしたい」と話していたと聞いた。ただ「一ファンが熱意だけでなれるものかな」と心配もした。

だが石川さんはただの一ファンではなかった。幼少から父にボート場に連れられて観戦。平山智加に憧れて「レーサーになりたい」と高校3年時に123期を受験。落ちて再受験を目指したが病気で断念した。

落ち込んでいた石川さんに、知り合った現役のレーサーたちが「キャスターを目指したら」と薦めてくれた。高校卒業後は住之江や尼崎の接客業や丸亀の洗濯業務に携わった。「すべてはキャスターになるための勉強でした」。熱意がかなってアナウンス会社に入りデビューを果たした。

「ファンに、自分が憧れたボートレースの魅力をもっと身近に感じて欲しい。そのつなぎ役をしたいんです」と目を輝かせる石川さん。キャスターとしての奮闘に今後も注目したい。